調査報告について / REPORT

平成28年11月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、国産タオルの堅調な販売動向を反映して、全体のDIは -0.36と、前回8月調査時点での -0.44に比べ若干の改善。
 一方で、先行きに関しても、「国内製造タオルの好調は持続している」「円高傾向も定着し一時より輸入仕入価格が相対的に下がっている」ことなどから、「業況判断DI」は +-0 と、足許よりも改善するとみている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が前回の25%程度から18%程度へ減少、また「悪い」「やや悪い」と判断する企業が46%と前回の44%程度よりもやや増加するなど、販売状況に対する判断では、企業による強弱が拮抗しているものの、全体としては若干悪化傾向がみられている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、大半の先で「変化なし」と回答しているなど安定している傾向にあるものの、11月上旬の次期アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利して以来、円ドルレートが大きく円安方向に動いており、輸入品中心に、今後の仕入価格に関しては、「予断を許さない」と警戒する向きも多く見られている。
 一方で、販売価格に関しては、多くの先で「変化なし」と回答しているが、足許「円高による値下げ圧力が増している」として、18%の先で「下落した」と判断するなど、若干下降傾向に拍車がかかる方向になっている。  この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が45%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移を見ると、今年の春先以降円高が進み足許の輸入仕入コストが徐々に下落基調にあることが好感されていることなどから、5月調査では- 0.29 と再度改善方向に向かってきていたが、8月調査では、「為替円高の定着化で販売先からの値下げ圧力がある」「社会全体にもデフレ傾向が持続しており、消費者の価格性向も厳しくなってきている」ことなどを反映して、全体では -0.44 と足許悪化する結果となっていた。
 今回11月調査においては、アパレルや寝装の消費不振などからタオルの消費についても慎重な見方も多い中、国産タオルの出荷は順調なこともあり、全体の景況感は -0.36 と前回調査比若干の改善をみている。
 その内訳を見ると、今回調査時点では、「やや良い」と判断して先は18% にとどまり前回( 19% )よりやや減少したものの、前回13%に上った「悪い」と判断した先が今回調査では皆無になるなど、全体的に業況判断は上方修正された。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては +- 0 と、足許の判断 - 0.36 に比べては大きく改善傾向にあり、前回5月調査( - 0.19 )に比べも、先行き好転の判断となっている。
 こうした見方の根底には、引き続き国内製造の高付加価値タオルに関しては販売好調が持続していることがあると思われ、先行き一定の安定感を持っている経営マインドの現れであろうと思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先はなく、「やや良い」と判断する企業が全体の 18% 前後となっており、前回2月調査時点( 25% )と比べると若干の後退。一方で、8月調査では「悪い」、「やや悪い」と答える企業は 44% であったが、今回調査では、「悪い」と答える先はなくなったものの、「やや悪い」と答えた先は46% にのぼるなど、こちらも横ばい圏内ながら若干の悪化をみている。
 会員企業では、「今治、泉州などの国内産地では出荷量も前年に比べて増加している」ことを主因に、「足許は堅調な売り上げ」、「付加価値の高い国産品など、品質の良い商品が好調な流れは持続している」などプラスの見方も持続している一方、「足許好調な売上は、他商品群の販売不振からタオル売り場が拡大したにすぎないのではないか」「アパレルを中心とした消費不況がリビング商品に飛び火してきている」など否定的な見方も強く、好悪拮抗する状況の中で、全体の判断は微妙に下方修正されたもの。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、多くの先が「変化なし」と判断している一方、13%の先で「下降した」と判断した前回調査に比べると、今回調査では18% の先で「下降した」と判断するなど、一部での「下降」判断は徐々に増加してきている傾向。
 大きな流れでは、「チェーンストアを中心に、販売数量の減少をカバーするために上代を一段階上げていく企業もある」「長い間かけて円安による仕入コストアップ分をようやく価格転嫁してくることができている」など、足許までの時期は、販売価格の維持ができている先が大半ながら、「円高の進行と円高水準の安定から、納品価格を下げてくれという先が出ている」など、一部の先では販売価格の下落を指摘する動きもあり、今後の動向に注目する必要があると考えられる。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では18% の企業が前月に比べて「下降した」、 82% の企業が「変化なし」と回答しており、仕入価格は安定している傾向が持続している。
 ここ半年ばかりは、円高の進行による輸入コストダウンなどで、仕入価格は低下方向に動く企業の数が増加していたが、11月上旬のトランプ次期米大統領選出決定のニュースを受け、ドルが円に対して急反発、12月にはドル相場も1ドル115円~120円程度で推移することになり、輸入品や輸入綿花などの今後の値上がりが俄かにクローズアップされてくるようになっている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「適正」と答えた企業が全体の 55% 、「過剰」と答えた先が 45% を占めるなど、概ねどちらかの判断をする先が大半となっており、販売形態の多頻度小ロット化、アイテム数の多様化の流れを受け、依然として、在庫回転率が悪く、全体としては流通段階でのだぶつき感がある状態は持続しているといえる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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