調査報告について / REPORT

平成29年2月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、個人消費の不振を背景に、全体のDIは -0.57と、前回11月調査時点での -0.36に比べ大きく後退した。
 一方で、先行きに関しては、「国内製造タオルの販売好調は持続している」ことなどから、「業況判断DI」は -0.14 と、足許よりも大きく改善するとみている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が前回の18%から21%へやや改善したものの、「悪い」、「やや悪い」と判断する企業が64%と前回の46%よりも大きく増加するなど、販売状況に対する判断では、企業による強弱が拮抗しているものの、全体としては下方修正されている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、大半の先で「変化なし」と回答しているなど安定している傾向にあるものの、11月上旬の次期アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利して以来、円ドルレートが大きく円安方向に動いており、輸入品中心に、今後の仕入価格に関しては、「予断を許さない」と警戒する向きも多く見られている。
 一方で、販売価格に関しては、一部では、販売不振による競争激化から「下落した」としたものの、多くの先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。
 この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が43%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、昨年の8月調査では、「為替円高の定着化で販売先からの値下げ圧力がある」「社会全体にもデフレ傾向が持続しており、消費者の価格性向も厳しくなってきている」ことなどを反映して、全体では -0.44 と同5月調査より悪化する結果となっていた。その後11月調査においては、国産タオルの出荷が順調なこともあり、全体の景況感は -0.36 と8月調査比若干の改善をみていた。
しかし、今2月調査では、「シーズンオフでタオルの販売数が減少」「食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでおり、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振を反映する形で、業況判断DIは -0.57 と、前年2月調査以来の低水準にとどまった。
その内訳を見ると、今回調査時点では、「やや良い」と判断した先は21% にとどまる一方、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が全体の71% に上るなど、前回調査に比べて大きく下方修正される結果となった。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.14 と、足許の判断 - 0.57 に比べては大きく改善傾向にあり、前回11月調査( +- 0 )に比べ悪化はしているものの、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が21% にとどまるなど、先行きに関しては明るい見通しを持っていることも窺える。
 こうした見方の根底には、引き続き国内製造の高付加価値タオルに関しては販売好調が持続していることがあると思われ、先行き一定の安定感を持っている経営マインドの現れであろうと思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先はなく、「やや良い」と判断する企業が全体の 21% 前後となっており、前回11月調査時点( 18% )と比べると若干の改善。一方で、今回調査では「悪い」、「やや悪い」と答える企業は 64% に上り、前回11月調査(46%)比大きく悪化する結果。
 会員企業では、「今治、泉州などの国内商品の需要は引き続き堅調」という最近の流れは変化がないとしながらも、「国内産地では、染色等の晒工程や、ヘム縫いなどの縫製工程でのボトルネックが明らかで注文しても上がりが悪い」「百貨店店頭等は売上が厳しい」「一部小売店では競争激化から販売価格の下落傾向もみられる」など悪材料を指摘する向きも多く見られている。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、多くの先が「変化なし」と判断している一方、18% の先で「下降した」と判断した前回調査に比べると、今回調査では14% の先で「下降した」と判断するなど、全体としてはあまり変化のない流れとなっている。
 昨年11月上旬のトランプ次期米大統領選出決定のニュースを受けドルが円に対して急反発して以来、ドル円相場は110~120円近辺で推移、以前に比べれば円安水準が固定化してきており、その結果、輸入価格を中心に徐々に上昇がみられるようになったので、「業界外からのゲリラ的な安売りセールスが減った」ことなど、販売価格を下支えする要因もあると考えられる。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では7% の企業が前月に比べて「下降した」、 86% の企業が「変化なし」と回答しており、仕入価格は安定している傾向が持続している。一方で、前回ゼロであった「上昇した」と答えた企業が 7% になるなど、円安傾向の定着から徐々に輸入タオルの値上がりが進行すると考えられている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「適正」と答えた企業が全体の 57% 、「過剰」と答えた先が 43% を占めるなど、概ねどちらかの判断をする先が大半となっており、販売形態の多頻度小ロット化、アイテム数の多様化の流れを受け、依然として、在庫回転率が悪く、全体としては流通段階でのだぶつき感がある状態は持続しているといえる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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