調査報告について / REPORT

平成29年5月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、個人消費の不振を背景に、全体のDIは -0.62 と、前々回11月(-0.36)、前回2月調査時点(-0.57)に比べ引き続き後退した。
 一方で、先行きに関しては、「国内製造タオルの販売好調は持続している」ことなどから、「業況判断DI」は -0.30 と、前回5月調査時点よりは慎重な見方が増えたものの、足許よりも改善するとみている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業がなくなり、「どちらともいえない」と判断する先が増加。「悪い」、「やや悪い」と判断する企業が54%と前回の64%よりも改善しているという面もあり、販売状況に対する判断では、若干悪化傾向ながら、企業による強弱が拮抗している、という水準にとどまっている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、大半の先で「変化なし」と回答しているなど安定している傾向にあるものの、一部では、原料綿花価格の上昇、運賃など経費の上昇を材料に、仕入価格が上昇したとする先も出てきており、今後の仕入価格に関しては、「予断を許さない」と警戒する向きも多く見られている。
 一方で、販売価格に関しては、一部では、販売不振による競争激化から「下落した」としたものの、多くの先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。  この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が31%に上るなど、一部で若干の改善傾向は見られるものの、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、昨年の11月調査(-0.36)に比べ、本年2月調査は-0.57とマインドが低下する傾向にあったが、今5月調査においても、この傾向は持続して、DIは更に下押しする結果となった。  このところ可処分所得の伸び悩みを背景に消費全体が低迷しており、そのトレンドを反映して「シーズンに入ったものの、不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」「食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでいる中、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振が持続しており、業況判断DIは -0.62 と、前年2月調査(-0.57)に比べてさらに後退感のある低水準にとどまった。
 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、この傾向を如実に示しているといえる。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、
店舗数調整後
29年1月29年2月29年3月29年4月
百貨店売上高
(「その他衣料品」分野)
-4.9-3.7-6.2-2.5
チェーンストア売上高
(「その他日用雑貨品」分野)
-5.0-4.2-3.6-0.2

●百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

その内訳を見ると、今回調査時点では、「やや良い」と判断した先は8% と前回2月調査時点(21%)に比べ大きく減り、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が全体の62% に上る(2月調査では71%)など、トータルでは前回調査に比べて大きく下方修正される結果となった。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.30 と、足許の判断 -0.62 に比べては大きく改善傾向にあり、前回2月調査(- 0.14)に比べ悪化はしているものの、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が30%にとどまるなど、先行きに関しては不透明ながら、少し明るい見通しを持っていることも窺える。
こうした見方の根底には、引き続き国内製造の高付加価値タオルに関しては販売好調が持続していることがあると思われ、先行き一定の安定感を持っている経営マインドの現れであろうと思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」、「やや良い」と判断する先がなくなり(前回2月調査21%)販売景況感は悪化している。ただ、「どちらともいえない」とする先が全体の46%をしめ、「やや悪い」「悪い」とする先は54%と前回調査時点の64%よりも改善している面もあり、全体としては悪化しているものの一定レンジで踏みとどまっているとの印象である。
 会員企業では、「今治産地の商品も出回りすぎて少し売行きに陰りがある」など、このところ順調に販売を伸ばしていた国内産のタオルの販売にもスローダウン傾向がみられるとの声のほか、「一部小売店では競争激化から販売価格の下落傾向もみられる」など悪材料を指摘する向きも多く見られている。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、「上昇した」が8%、「変化なし」が69%、「下降した」が23%となっており、多くの先が「変化なし」と判断し、全体としてはあまり変化がみられない、とする大きなトレンドに概ね変化はないと考えられる。
 昨年11月上旬のトランプ次期米大統領選出決定のニュースを受けドルが円に対して急反発したのち、ドル円相場は概ね110~115円近辺で推移、以前に比べれば円安水準が固定化してきており、その結果、輸入価格を中心に徐々に上昇がみられるようになったので、「業界外からのゲリラ的な安売りセールスが減った」ことなど、販売価格を下支えする要因もあると考えられる。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では15%の先が「上昇した」と判断しており、前回調査時点(7%)よりも値上がりを指摘する向きが増加している。一部には「世界的に上昇してきている原料綿花価格の問題」や、「国内タオル製造での加工費アップ」、「運賃などの物流費アップ」をその原因として指摘する声もある。
 一方で、85% の先が「変化なし」と回答しており、仕入価格は、全体としてみれば、引続き概ね安定している傾向が持続している。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様、「適正」と答えた企業が全体の 62% 、「過剰」と答えた先が 30%を占めるなど、概ねどちらかの判断をする先が大半となっている。一方で、「不足」と答える先も8%存在している点が前回までの調査比変化点として挙げられる。
 業界全体としては流通段階でのだぶつき感がある状態は持続しているところであるが、売上、仕入のバランスの中で、一部先では、在庫回転率の上昇もみられていることも窺われるところである。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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