調査報告について / REPORT

平成25年11月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、前回調査の8月時点に比べ、「良い」「やや良い」「どちらともいえない」と回答した企業数は概ね変化がないものの、「やや悪い」と判断した企業数がやや減少したことから、全体のDIは改善した。また、先行きに関しては、景気の徐々なる拡大に対する期待感や、来年4月1日の消費税引き上げ前の駆け込み需要期待から、好転すると感じる企業が増加しており、3か月先のDIは足許より大幅に改善する結果となっている。
 この間、多くの企業で、急速な円安による海外品の仕入単価の上昇、輸入綿糸高、染工場でのコスト高を背景とした国内タオル仕入価格のじり高傾向を反映し、仕入価格が「上昇した」と判断している傾向。
 一方で販売価格に関しては、前回8月調査に比べると、仕入価格上昇を販売価格に転嫁する企業が増加している傾向が出てきており、前月に比べ「上昇した」と考える企業が半数以上となるなどの結果となっている。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が31%に上るが、半年前の前回5月調査時点に比べると減少しており、全体としては、流通段階のだぶつき感は徐々に改善傾向がみられている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」に関する結果を見ると、現在においては、一部の企業が「やや良い」と判断しているものの、半数近くの会員企業が「どちらともいえない」をマークしているほか、やはり半数近くの会員企業が「やや悪い」「悪い」をマークしており、全体的に見れば、-0.53 と「良い」「悪い」が均等になる 0 を大きく下回っている状態が持続している。
 一方で、前回8月調査時点と比較すると、「やや悪い」と答える企業数が減少していることを受けて、下記の計算式で算出した全体の業況判断DIは、8月調査の -0.57(5月調査時点 -0.78)に比べ、改善傾向が窺える。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

全体として厳しい見方が多い主な理由は、以下の要因が挙げられる。

  1. 販売面では、自民党政権のアベノミクスによる景気刺激策に対する期待は高まるものの、株や高額商品が売れている半面、日用品に属するタオル製品に対する需要は相変わらず厳しいものがあり、商況は今一つの状態を持続している。こうした流れを受け、スポット的な別注の規模が小さくなる傾向にあることも悪化の一因になっているとの指摘もある。

  2. 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.23 と、現状に比べ大きく改善が見込まれた予想となっている。
    前回8月の調査時点では、3か月先の業況判断DIは -0.57 と、足許に比較してほぼ一進一退の状況が続くとみている企業が多く見られたが、現下、アベノミクスの一定の効果が経済指標に表れている中、景気全体は徐々に回復していくとみる先も散見されているほか、2014年4月1日の消費税率引き上げ実施に絡んで、3月中心に駆け込み需要が高まり、売り上げを押し上げる効果がある、との期待感がみられていることも今回の特徴である。

業況判断DI

Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業が全体の15%、「どちらともいえない」が全体の39% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が46% となっている。8月調査時点では、「良い」「やや良い」と判断する企業は21%、「悪い」「やや悪い」と判断する企業が43%となっていたので、全体としては停滞感が強く、「悪い」「やや悪い」と考える企業数が少し増加している。
 8月調査では、5月調査に比べて販売地合いの好転がみられたが、11月調査では少し悪化するなど、販売環境自体は相変わらず厳しい見方が多いことが見て取れるところである。

 主な要因として、ここしばらくはアベノミクスの影響から、貴金属やブランド品など高額商品の販売が好調であるが、一方で実用衣料や日用品に関しては、景気拡大傾向を反映して消費量が伸びているということを実感できない、ということや、後述するように、一部で仕入価格を販売価格に転嫁できている先も増加しているものの、仕入価格の上昇に比べるとなかなか追いつくことができないというあたりも、販売地合いの好転に対する重しとして作用していると考えられる。

 販売価格に関する質問では、8月調査では、「上昇した」を選んだ企業は僅少で、殆どの先で「変化なし」を選択していたが、今回調査では、46%の企業が「上昇した」を選び、46%が「変化なし」を選ぶなど、販売価格は半数近くの先で価格転嫁に成功しつつある模様。
 このところ、多くの企業で、仕入単価を販売単価に転嫁することに長期間にわたって苦労している傾向にあったが、足許はようやく徐々に転嫁が進んでいることが確認できる。

 一方で、仕入価格に関する質問では、「下降した」と判断する企業が僅少な半面、69%の企業で前月に比べて「上昇した」、残りの企業で「変化なし」との判断となっている。
 8月調査では、「上昇した」を選ぶ企業は半数程度であったことを考えると、仕入価格の上昇圧力は引き続き高いことが窺われる。
 円安による海外仕入商品の値上がりは円相場の水準安定で一服している半面、国内製造のタオルにおいては、原料輸入綿糸の値上がりに加え、電力料金の値上がりなどを背景とする精錬工程での値上がり等を理由に、仕入単価が徐々に上がる傾向となっている。また、原油高の影響を受けて、石化製品の値上がり等から副資材が単価アップになることも散見されている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の69%、「過剰」と答えた先が31%となっている。全体としては、流通段階では、ややだぶつき感の見られる動向となっているが、半年前の5月調査時点では、「過剰」と答える企業が50%に上っていたことを考えると、流通段階での在庫もたつき感は、全体としては改善されていると思われる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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