調査報告について / REPORT
平成26年2月実施実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース
アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、4月1日の消費税率引き上げ前の駆け込み需要の増加などを背景に、前回調査の11月時点に比べ、「良い」「やや良い」と回答した企業は少し増加し、「やや悪い」「悪い」と判断した企業数が大きく減少したことから、全体のDIは改善した。
一方で、先行きに関しては、4月以降、消費税率引き上げ後の需要減退を見込んでいる企業が多く、全体としては、現在よりも、やや後退している判断をしている結果となっている。
販売動向に関しては、足許、駆け込み需要や、「今治タオル」など、好調な国産タオルの販売増加等を背景に、販売地合いが良くなっていると判断している企業が増加している。
この間、多くの企業で、輸入綿糸高、染工場でのコスト高を背景とした国内タオル仕入価格のじり高傾向などを反映し、仕入価格が前月より「上昇した」と判断している傾向。
一方で、販売価格に関しては、引き続き仕入価格上昇を販売価格に転嫁する企業が増加している傾向が出てきており、前回調査に続き、前月に比べ「上昇した」と考える企業が多く見られている。
ただし、仕入れコストの上昇に対して、販売価格の上昇水準が低いと考える企業は多く、利益率が下がっている、と答える企業が多くみられている。
この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が38%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している傾向がみられている。
Q. 業況判断に関する質問
経営マインドに関する質問である「業況判断」に関する結果を見ると、現在においては、18%の企業が「やや良い」と判断しているものの、35%の会員企業が「どちらともいえない」をマークしているほか、半数近くの会員企業が「やや悪い」「悪い」をマークしている。
一方で、3か月ごとの連続性で見ると、徐々に回復してきている傾向は窺え、全体的に見れば、-0.38と、前回調査の-0.53、前々回調査の-0.57を上回っている。 しかし、「良い」「悪い」が均等になる0を、引き続き大きく下回っている状態が持続している。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。
全体として厳しい見方が多い主な理由は、以下の要因が挙げられる。
- 販売面では、自民党政権のアベノミクスによる景気刺激策の奏功から、大企業の業績の回復は鮮明化しており、全般的な景気拡大状況の中、日用品に属するタオル製品においても、企業からの名入れ別注などを中心に、堅調な商況が続いている。ただこうした流れにあっても、仕入価格の上昇を販売価格の上昇に転嫁していく動きは遅れ遅れとなっており、現状、商況は回復傾向ながら、利幅の減少により、増収減益の流れが続いていることが、マインドがなかなか好転しない原因と思われる。
- 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては-0.43と、現状に比べやや悪化する厳しい見方が主流となっている。
前回11月の調査時点では、3か月先の業況判断DIは、消費税導入前の駆け込み需要も一部ではみられるとの予想から-0.23 (足許-0.53)と、足許に比較して改善するとの見方が多くみられたが、今回調査では、4月消費税増税後の消費マインド悪化を懸念する声が多く聞かれ、足許に比べ、やや悪化する結果となった。
Q.販売、仕入動向に関する質問
会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業が全体の24%、「どちらともいえない」が全体の59% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が18% となっている。11月調査時点では、「良い」「やや良い」と判断する企業は15%、「悪い」「やや悪い」と判断する企業が46%となっていたので、「悪い」「やや悪い」と考える企業数が大きく減少し、「良い」「やや良い」と答える企業数は増加しており、販売動向に関しては、改善傾向がはっきり分かる状況である。
前回11月調査は、前々回8月調査に比べて、「悪い」「やや悪い」と答える企業数割合が増加しており、景気の停滞感が強く感じられたが、今回調査では、販売地合いに関しては、大きく改善されたといえる。
主な要因として、4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要から、売上高は概ね堅調に推移していることや、最近ブランドイメージアップにより好調な「今治タオル」に代表される国産タオルの取り扱いを増やしている会社では売り上げ増加も見られていることなどが挙げられる。
もっとも、多くの企業が、消費税率アップ後の購買需要減退に対する懸念を示しており、中期的に、販売地合いが良くなったというよりは、一時的な改善と判断するほうが妥当と考えられる。
販売価格に関する質問では、前々回の8月調査では、「上昇した」を選んだ企業は僅少で、殆どの先で「変化なし」を選択していたが、前回11月調査では、46%の企業が「上昇した」を選び、46%が「変化なし」を選ぶなど、販売価格は半数近くの先で価格転嫁に成功しつつある模様であった。
今回調査では、その傾向がさらに進み、29%の企業が、前月に比べ「上昇した」をマークするなど、販売価格の上昇は持続している事が窺われる。
ただし、仕入価格の上昇に対して、販売価格の上昇が十分でないと判断している企業が大半で、まだまだ仕入れコスト上昇の価格転嫁は道半ばである、といえ、結果として、利益率が低下しているとの指摘もあり、そのことが業況判断DIにおいても、引き続き水面下の判断がなされている原因のひとつとなっている。
一方で、仕入価格に関する質問では、「下降した」と判断する企業がまったくない半面、65%の企業で前月に比べて「上昇した」、残りの企業で「変化なし」との判断となっているなど、仕入価格の上昇圧力は引き続き高いことが窺われる。
円安による海外仕入商品の値上がりは円相場の水準安定で一服している半面、国内製造のタオルにおいては、原料輸入綿糸の値上がりに加え、電力料金の値上がりなどを背景とする精錬工程での値上がり等を理由に、仕入単価が徐々に上がる傾向となっている。また、原油高の影響を受けて、石化製品の値上がり等から副資材が単価アップになることも散見されている。
Q.在庫動向に関する質問
在庫水準に関しては、今回調査においても、前回調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の62%、「過剰」と答えた先が38%となっている。
全体としては、流通段階では、ややだぶつき感の見られる動向となっているが、前回調査での「過剰」との判断先は31%であったことを考えると、ここ数か月では在庫の回転率上昇感は感じられず、やや過剰の状態で横這っている傾向が窺われる。
以上
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