調査報告について / REPORT

平成26年5月実施実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、4月1日の消費税率引き上げ後の売上の反動減の影響を反映し、前回調査2月時点に比べ、「良い」「やや良い」と回答した企業が大幅に減り、「やや悪い」「悪い」と判断した企業数が大きく増加したことから、全体のDIは - 0.71と大きく悪化した。
 一方で、先行きに関しては、消費税率引き上げ後の需要減退の影響は想定していたよりも軽微であると判断している企業が多く、全体としては、先行きの消費動向は堅調に推移するとの明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」については、- 0.28と大きく改善している結果となっている。
 販売動向に関しては、足許、消費税率引き上げ後の需要後退の影響から、57%の企業で「やや悪い」「悪い」をマークしている現状。
 この間、エネルギーコストのアップや、精錬工場や縫製工場でのコスト高を背景とした国内タオル仕入価格のじり高傾向などを反映し、仕入価格が前月より「上昇した」と判断している企業は全体の36%に上るが、前回2月調査の同65%に比べて、仕入価格が上昇していると判断する企業数は減少してきている傾向が窺われる。
 一方で、販売価格に関しては、4月の消費税率引き上げの消費に与える影響が注目される中、ほとんどの企業では、販売単価を据え置いている傾向が窺われ、仕入価格上昇を販売価格に転嫁する動きは、このところ一旦踊り場状態を迎えているといえる。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が43%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している傾向がみられている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」に関する結果を見ると、今回は「良い」「やや良い」と判断している企業はごく少数で、29%の企業が「どちらともいえない」をマークしているほか、64%の企業が「やや悪い」「悪い」をマークしている。その結果、業況判断DIは - 0.71と、前回2月調査の - 0.38 に比べて、大きく景況感は後退している。
 前回調査2月時点は、4月1日の消費税率アップ直前の時期であり、駆け込み需要を背景に景況感は上昇していたが、今回調査は、消費税率アップ後の初めての調査であり、販売動向にその反動減が出ていることから、今回の判断になった模様である。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

今回厳しい見方が多かった主な理由としては、上記のような消費税率のアップによる販売動向の停滞という直接的な要因以外に、以下の要因が指摘されている。

  1. 販売面では、「消費増税による売上の反動は想定していたより小さく、その影響も一時的なものと考える」という明るい意見もある一方で、「消費増税の影響が見えづらい」「これからの消費動向が予測しにくい」など、目先の販売政策の方向性が決めづらいということも景況感を後退させている原因と考えられる。
    また、「消費税のアップ分の価格転嫁は特に問題なく進んでいるが、仕入価格の上昇を販売価格に転嫁するほうは、なかなかスムーズにいかない」など、販売動向はさほど心配していないとしても、利益面での改善に苦労している状況が続いており、この点も景況感を下押ししている原因と考えられる。

  2. 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては - 0.28 と、現状の - 0.71 に比べて 改善していくとの見方が主流となっている。
    こうした見方の根底には、今回の消費税率アップの影響が想定内であったことに加え、日本全体の消費局面は、消費税率アップの中ではあるが、引き続き堅調に拡大していくとの見方に、多くの企業が自信を持っていることの表れであると考えられる。

業況判断DI

Q.販売、仕入動向に関する質問
会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業が全体の7%、「どちらともいえない」が全体の36% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が57% となっている。2月調査時点では、「良い」「やや良い」と判断する企業は24%、「悪い」「やや悪い」と判断する企業が18%となっていたので、「悪い」「やや悪い」と考える企業数が大きく増加し、「良い」「やや良い」と答える企業数は減少しており、販売動向に関しては、後退感がはっきり分かる状況である。
主な要因は、4月の消費税率引き上げ後の駆け込み需要に対する売上の反動減少の影響であるが、「4月、5月の消費後退が予想していたよりも軽微である」との指摘も多くされており、5月調査時点では、販売動向に関する数字は悪いものの、先行きに対しては、堅調な推移をたどるとみている企業が多いと思われる。

販売価格に関する質問では、今回調査では、86%の企業が「変化なし」と回答している。このところ、昨年11月調査時点では、46%の会員企業が前月に比べ「上昇した」を選び、また2月調査においても29%の会員企業が「上昇した」をマークするなど、仕入価格の上昇を販売価格に転嫁する流れが持続していたが、今般消費税の税率アップの中、仕入れコストアップの販売価格への価格転嫁の動きは、一時的に踊り場状態にあると考えられる。

一方で、仕入価格に関する質問では、「下降した」と判断する企業がまったくない半面、36%の企業で前月に比べて「上昇した」、残りの企業で「変化なし」との判断となっているなど、仕入価格の上昇圧力は引き続き高いことが窺われる。
前回2月調査においては、「上昇した」と判断した企業が65%に上っていたので、仕入コストの上昇圧力は、引き続き強いものの、時系列でみると、徐々に緩和されてきていることが窺われる。
仕入価格の上昇要因を分析すると、円安による海外仕入商品の値上がりは円相場の水準安定で一服している半面、国内製造のタオルにおいては、電力料金の値上がりなどが顕在化する中、精錬工程や縫製工程での繁忙感が強いために相対的に外注単価が上がってきていることなどを理由として、タオル製品の仕入単価が徐々に上がる傾向となっている。また、原油高の影響を受けて、石化製品の値上がり等から副資材が単価アップになることも散見されている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の57%、「過剰」と答えた先が43%となっている。
 全体としては、流通段階では、ややだぶつき感の見られる動向となっているが、前々回、前回調査での「過剰」との判断先はそれぞれ31%、38%と増加傾向であることを考えると、ここ数か月では在庫の回転率上昇感は感じられず、やや過剰の状態が持続している傾向が窺われる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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