調査報告について / REPORT

平成26年11月実施実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、4月1日の消費税率引き上げ後の消費マインドの不芳、天候不順による小売店での販売不振を反映、また9月以降の急速な円安の進行から輸入タオルの仕入れコストが上昇していることもあり、全体としては-0.69と、前回8月調査時点(-0.57)に比べ、全体のDIは悪化傾向となっており、依然大きくマイナスに割り込む水準となっている。
 一方で、先行きに関しては、基本的には、先行きの日本全体の消費動向は堅調に推移するとの明るい見方をしている企業が多いものの、前回8月調査時点に比べ、先行きに対する不透明感が高まり、3カ月後の「業況判断DI」については-0.46と、8月調査時点(-0.07)に比べて先行き改善期待が萎んでいることを示した結果となった。
 また、販売動向に関しては、足許、消費税率引き上げ後の需要後退の影響持続などから、60%程度の企業で「やや悪い」「悪い」をマークしている現状。
 この間、9月以降の急速な円安傾向の影響から、輸入タオルの価格上昇が顕在化しており、仕入価格が前月より「上昇した」と判断している企業は全体の70%に上るなど、8月調査時点(36%)と比較して大きく振れており、仕入コストのアップが経営に及ぼす悪影響も懸念されるところである。
 一方で、販売価格に関しては、4月の消費税率引き上げの消費に与える影響が注目される中、過半の企業では、販売単価を据え置いている傾向が窺われる一方、輸入タオルの仕入コストアップを価格転嫁しようと努力する向きも散見され、結果としては、「下落した」と判断する企業はなくなり、デフレ的な傾向はいったん終息したと考えられる。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が46%に上るなど、8月調査時点(57%)に比べ若干の改善は見られるものの、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している傾向となっている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」に関する結果を見ると、今回は「良い」と判断した企業はない一方で、「やや良い」と判断している企業が減少したほか、「やや悪い」「悪い」と答えた企業は引き続く大勢を占めているなど、前回少し持ち直し傾向が窺えた状態から、マインドは下向きに変化しており、依然として厳しい状態が持続している。
 その結果、業況判断DIは - 0.69と、前回8月調査の - 0.57 に比べて悪化方向であり、引続き大きく水面下の状況となっている。
 4月1日の3%の消費税率アップ実施後、5月、8月、11月と既に3回のマインド調査を行っているが、直後の5月は- 0.71 と大きくマインドは悪化したものの、8月調査時点では、反動減の影響も徐々に薄れてきている情勢を反映して、- 0.57 まで少し回復してきていた。しかるに、国全体の 7-9月のGDP伸び率においても、対前期比年率換算で -1.9%となるなど、消費を含む国全体レベルでの景気後退感が鮮明になる中で、消費の現場においても、日々の販売動向の厳しさが持続していることが窺われ、今調査時点では、8月調査時よりも、業況判断は厳しい結果となっている。
 加えて、9月日本銀行の異次元の金融緩和発表以来持続している円安基調が、海外からのタオル輸入のコストアップを惹起しており、なかなか販売先に価格転嫁できない中、企業収益を圧迫し始めていることが、厳しい見方が多い背景としてあることも見逃すことはできない。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.46 と、現状の -0.69 に比べて 改善していくとの見方が主流となっている。
 こうした見方の根底には、日本全体の消費局面は、消費税率アップの中ではあるが、阿部首相率いる自民党政権の政権基盤は盤石で、継続的なアベノミクス政策による果実が時間とともに国民全体に広がっていくという期待感があるとおもわれる。
 一方で、多くの先の3か月先の業況判断は、「わからない」との回答となっており、景気回復に対して、期待はしているものの確信がない、ということが主流となっていることは否めない。今回数値が改善しているのは、「やや良い」と判断する企業が増加したのではなく、「やや悪い」と考える企業が減少して、「わからない」と答える企業が増加したことによるもので、本質的に先行きが明るいと考えている企業数は増加していないことも特徴であるといえる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

業況判断DI

Q.販売、仕入動向に関する質問
 足許の販売状況は、前回調査では「良い」「やや良い」と判断する企業がなく、「どちらともいえない」が全体の43% を占め、「やや悪い」「悪い」にマークする企業が57% となっていた。
 今回調査では、「やや良い」と答えた企業が8%あるのに対し、「どちらともいえない」が30%と前回を下回り、全体として、やや悪化傾向が見て取れる結果。「やや悪い」と回答した企業は53%、「悪い」と回答した企業が8%となるなど、全体の60%強が「悪い」「やや悪い」と判断した。
 消費増税の反動の影響が予想以上に持続しているとの実感や、天候不順の影響で販売地合いが弱いことなども引き続き要因としてあるが、「消費者が財布のひもを締めている感じ」「いらないものは まったく買わない、という消費者心理を感じる」など、消費マインドが悪化していることを示唆する指摘も聞かれる。

 一方で、販売価格に関する質問では、今回調査では、「上昇した」と答えた企業は皆無であり、ほとんどの企業が「変化なし」と回答している。8月調査では、「下落した」と答える企業が29%あったが、こちらは減少している結果。
 前回調査の8月時点では、販売地合いの不透明感が販売価格に悪影響を及ぼしている側面もみられ始めてきていたが、9月以降の持続的急激な円安の進行から輸入仕入れコストが多くの企業で上がってきており、顧客への値上げ要求も散見されていることから、今回調査時点では、顧客からのデフレ的値下げ圧力は低下してきている模様。
 また、仕入価格に関する質問では、「下降した」と判断する企業が皆無となっている半面、70%の企業で前月に比べて「上昇した」としており、前回調査の36%に比べて、仕入価格の上昇圧力が強まってきていることを示している。
 仕入価格の上昇要因を分析すると、原油価格のじり安傾向が若干いい材料と判断されるものの、タオル製造工場や精錬会社が目先のC重油などの仕入価格に反映するには少し時間がかかる中、9月以降円安が急速に進展していることから輸入タオルの仕入コストが上がってきていることが問題となってきているほか、国内製造、海外製造のタオルを問わず、エネルギーコストの上昇、人件費の上昇などが顕在化する中、タオル製品の仕入単価が徐々に上がる傾向となっているという構造的な要因も見逃せない。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の54%、「過剰」と答えた先が46%となっている。
 全体としては、引続き過剰の状態が持続している傾向ながら、前回調査に比べては、「過剰」と回答する企業数が減り、「適正」と回答する企業数が増加するなど、在庫回転率の改善傾向も窺われる。
 此の点、円安の急速な進行もあり輸入コストの上昇が見込まれる中にあって、海外品の輸入程度を抑え気味に運用するとの声もあり、結果的には在庫回転率の改善に資することになったという側面もあると考えられる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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