調査報告について / REPORT

平成27年5月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、昨年4月1日の消費税率引き上げ後、実質可処分所得が減少している流れを背景に、アベノミクスによる消費拡大効果が高額品など一部にとどまる環境下、前回調査2月時点に比べ持ち直し傾向は窺えるものの、全体のDIは -0.54と依然大きくマイナスに割り込む水準となっている。
 一方で、先行きに関しては、円安や株高の恩恵を受ける大企業でのベースアップや一時金支給額アップなどの好影響が徐々に出てくるであろう、として、明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」については、-0.23と足許より大きく改善している結果となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」とする企業の増加傾向がみられているものの、足許厳しいと判断する企業が大半で、77%の企業で「やや悪い」「悪い」をマークしており、不芳な状況が持続しているのが現状。
 この間、急激な円安傾向に一服感があることや、足許原料綿糸価格の低下を主因にドル建て輸入コストが徐々に下がっていることもあり、仕入価格が足許さらに上昇していると考えている企業は23%と、前回(33%)、前々回調査時(69%)に比べ、仕入価格の上昇局面にはやや後退感が窺われる。
 一方で、販売価格に関しては、一部には、「国内製品などワンランク上の商品が好調」として前月に比べて「上昇した」と判断する企業もあるものの、多くの企業が「変わらない」を選ぶなど、全体としては、仕入価格のアップを販売価格に転嫁することはなかなか進みにくい状況が持続している。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が39%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続しているものの、輸入仕入価格のアップを受けた仕入数量の減少が在庫回転率の向上に結びついている傾向もあり、全体としては、「適正」水準と回答する企業が6割以上となっている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」の結果を見ると、今回調査では - 0.54 と前回2月調査時点の -0.67 と比べて改善傾向が窺われるものの、依然として低水準の結果となった。今回も「良い」と判断した企業はないほか、「やや悪い」「悪い」と答えた企業が全体の過半の54%を占めている状況ではあるが、「やや良い」と判断している企業数が増加しているなどプラスの側面もあり、厳しい中にも改善の萌芽がみられておりところである。
 今回調査時点の5月は、時期的にみれば、昨年は4月1日の3%の消費税率アップ実施後販売売り上げの反動減がみられていたため、その前年比較では売上高が伸びやすくなっているという側面もあり、かつ、昨年秋口より急激に進行していた円安による輸入仕入価格の上昇もこのところ一服感があり、価格転嫁も一部では進みつつあることもあって、全体としては利益圧迫要因が減ったという判断から、一部企業で景況感が改善していると思われる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

今回厳しい見方が多かったなかで、若干の改善がみられている理由をより具体的に見ていくと、以下の要因が指摘されている。

販売面では、昨年の4月以降、消費税率アップによる駆け込み需要の反動から売り上げが低迷していたこととの比較で、今年は売り上げが堅調に推移しているとみる声があるほか、「今治タオルなど日本製タオルに対する要望は多く、従来に比べてワンランク上の商品が売れている」など、消費の現状についても明るい見方をする向きも見られている。
また、外国人観光客の消費マインドは旺盛で、一部先においては、「インバウンド需要拡大の恩恵を受けており、売り上げが改善している」などの声も聞かれるところ。
一方、大半の先では、「為替動向、個人消費の先行き不透明感が強い」など、全体としては、景気の低迷を反映する結果となったが、昨年秋口より急騰してきたドル相場に一服感があり、「仕入れコストの値上がりもようやく落ち着いた」「中国など輸出国では原料綿糸の値下がりを反映して、ドル建て輸入価格が下がりつつある」など、仕入面で、経営マインドを下押しする環境が後退しつつあることも、景況判断を下支えする要因となっている。

また、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.23 と、現状の -0.54 に比べて大きく改善していくとの見方が主流となっている。
こうした見方の根底には、アベノミクスによる株高、円安の効果として、目先大企業のベースアップや一時金支給額アップなどが予想され、その効果として、消費が刺激を受けて改善方向に向かうであろうとの判断も見られ、景気が拡大局面であることに対して、多くの企業が自信を持っている表れであろうと考えられる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業は全体15% と少数ながら前回調査よりも改善している。一方で、「どちらともいえない」と答える企業は減少し、全体の77%の企業が、「やや悪い」「悪い」にマークしているなど、一部先では売り上げ改善の兆しが見えるものの、多くの企業では販売地合いの不芳が持続しているなど、企業間の差が少し深まってきているといえる。
 「仕入れコストの上昇を販売価格に転嫁したところ、出荷数量がかなり減少してしまった」など、一般の消費マインドは引き続き厳しいという判断が大きな流れである。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、今回調査では、85%の企業が「変化なし」と回答している。ただ、前回調査では、「販売不振から特価要請が多く価格を値下げせざるを得ない」として値下げする動きがあった一方で、今回調査では、「下落した」と答える企業がなくなったほか、「国内商品などワンランク上の商品の販売が好調」などの声を反映するものとして、販売価格が「上昇した」と判断している先が15%にものぼるなど、一部で改善の動きも現れている。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では、「下降した」と判断する企業はなく、23%の企業で前月に比べて「上昇した」、77%の企業で「変化なし」との判断となっている。前々回11月調査では、「上昇した」と回答する企業が全体の69%、前回2月調査では同60%を占めていたことを考えると、一方的な上昇感には一服の兆しがみられ、仕入価格の上昇圧力は徐々に低下してきていることが窺われる。これは、秋口より進行してきた円安傾向が一服していることや、原料綿糸価格の低下から海外でのドル建て生産コストが下がっていることが背景にあると思われる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の61%、「過剰」と答えた先が39%となっている。
 全体としては、仕入コストが上がる中、在庫回転率を上げて、仕入数量を抑えようとする企業が多く、その結果、在庫「過剰感」のある企業が少し減り、在庫は適正化の方向に向かっていると判断できる。しかし、依然として、「過剰」と答える企業も多く、流通段階での、だぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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