調査報告について / REPORT

平成27年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、昨年4月1日の消費税率引き上げ後、実質可処分所得が減少している状況下、景気の先行き不透明感は拭えないものの、足許、国内製品など高付加価値商品が好調に売れるなど販売地合いの改善が実感されていることを背景に、全体のDIは -0.29 と、依然水面下であるものの、前回5月調査時点での-0.54に比べて大きく改善をしている。
 一方で、先行きに関しても、円安や株高の恩恵を受ける大企業でのベースアップや一時金支給額アップなどの好影響が徐々に出てくるであろう、として、明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」についても、-0.29と比較的高水準の判断をしているところである。
 販売動向に関しては、「良い」「やや良い」とする企業が全体の29%、一方で、「悪い」「やや悪い」と判断する企業がやはり29%となるなど、販売状況に対する判断では、強弱が拮抗しており、前回調査時点に比べると改善傾向が顕著であるといえる。
 この間、急激な円安傾向に一服感があることや、足許原料綿糸価格の低下を主因にドル建て輸入コストが徐々に下がっていることを背景に、仕入価格が足許さらに上昇していると考えている企業は14%と、前回(23%)、前々回調査時(33%)に比べ、仕入価格の上昇局面には後退感が窺われる一方で、14%の企業で、「下落した」と判断していることも今回の特徴である。
 一方で、販売価格に関しては、一部には、「国内製品などワンランク上の商品が好調」として前月に比べて「上昇した」と判断する企業もあるものの、多くの企業が「変わらない」を選ぶなど、全体としては、仕入価格のアップを販売価格に転嫁することはなかなか進みにくい状況が持続している。
 この間、在庫水準に関しては、「不足」と答えた企業がない半面、「過剰」と答えた先が36%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続しているものの、輸入仕入価格のアップを受けた仕入数量の減少が在庫回転率の向上に結びついている傾向もあり、全体としては、「適正」水準と回答する企業が6割以上となっている。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」の結果を見ると、今回調査では、- 0.29 と依然水面下の水準とはいえ、今年2月調査時点での -0.67、前回5月調査時点の -0.54 と比べて着実な改善傾向が窺われている。今回も「良い」と判断した企業はないものの、「やや悪い」「悪い」と答えた企業が全体の過半の29%を占めている一方で、「やや良い」と判断している企業も全体の21%を占めるなど、強弱どちらもみられるかたちで全体の数字が上がってきている印象である。
 今回調査時点の8月は、時期的にみれば、昨年は4月1日の3%の消費税率アップ実施後販売売り上げの反動減がまだみられていた状況にあったため、その前年比較では売上高が伸びやすくなっているという面もあるということ、また、今治タオルなど、高付加価値商品の売れ行きは引き続き順調なため、国内商品を主に扱う会社においては、売り上げが堅調に推移しているという側面も見受けられるところである。加えて、昨年秋口より急激に進行していた円安による輸入仕入価格の上昇もこのところ一服感があり、価格転嫁も一部では進みつつあることもあって、全体としては利益圧迫要因が減ったという判断から景況感が改善していると思われる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 今回、業況判断にかなりの改善がみられている理由をよりやや詳しく見ると、以下の要因が指摘されている。

販売面では、昨年の4月以降、消費税率アップによる駆け込み需要の反動から売り上げが低迷していたこととの比較では、今年は、外国人による「爆買い」が話題になるなど消費を取り巻く明るい話題が多く見られる状況下、「今治タオルなど日本製タオルに対する要望は多く、従来に比べてワンランク上の商品が売れている」など百貨店売上が好調で、消費の現状についても明るい見方をする向きが増加している。
一方、多くの先では、「為替動向、個人消費の先行き不透明感が強い」など、景気の先行きの懸念は払拭できていないものの、8月後半には円ドル相場が対ドルで5%ほど改善するなど、昨年秋口より急騰してきたドル相場に一服感があり、「仕入れコストの値上がりもようやく落ち着いた」「中国など輸出国では原料綿糸の値下がりを反映して、ドル建て輸入価格が下がりつつある」など、仕入面で、経営マインドを下押しする環境が後退しつつあることも、景況判断を下支えする要因となっている。

 また、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.29 と、現状の -0.29 に比べて横ばいながら、比較的高い水準を維持する判断となっている。
 こうした見方の根底には、アベノミクスによる株高、円安の効果として、目先大企業のベースアップや一時金支給額アップなどもあり、その効果として、消費が刺激を受けて改善方向に向かうであろうとの判断も見られ、景気が拡大局面であることに対して、多くの企業が自信を持っている表れであろうと考えられる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」「やや良い」と判断する企業は全体の29% と、前回5月調査の15%と比較して増加傾向となっている。一方で、全体の29%の企業が、「やや悪い」「悪い」にマークしているなど、「良い」と判断する企業数と、「悪い」と判断する企業数がほぼ拮抗する結果となっている。
 前回調査時点では、「仕入れコストの上昇を販売価格に転嫁したところ、出荷数量がかなり減少してしまった」など、売り上げの低迷を指摘するむきの企業も多かったが、高付加価値商品中心に販売動向が改善する中、販売に対する見方も改善されているということができる。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、今回調査では、77%の企業が「変化なし」と回答するなど、大半の企業では販売価格に動きはない状況である。一方で、一部の企業では、「販売不振先からは相変わらず特価要請が多く価格を値下げせざるを得ない」として値下げする動きが指摘される一方で、「国内商品などワンランク上の商品の販売が好調」などの声を反映するものとして販売価格が「上昇した」と判断している先も散見されるなど、部分的には上下反対方向の動きもみられているのが実情。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では14%の企業が前月に比べて「上昇した」と判断しているものの、2月調査では同33%、5月調査では同23%の企業が「上昇した」と判断していたことを考えれば、円安基調で長らく続いてきた仕入価格の値上がり傾向が一服の状況であると判断する先が増加していることが推察される。
 また、今回は逆に「下降した」と回答する企業も14%存在しているが、これは、中国などでのドル建て輸出価格が原料綿糸価格の下落を反映して弱含んでいることや、このところの円ドル相場が、円安とはいえ安定的に推移していることも、この判断の根拠となっていると思われる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の64%、「過剰」と答えた先が36%となっている。
 全体としては、仕入コストが上がる中、在庫回転率を上げて、仕入数量を抑えようとする企業が多く、その結果、在庫「過剰感」のある企業が少し減り、在庫は適正化の方向に向かっていると判断できる。しかし、依然として、「過剰」と答える企業も多く、流通段階での、だぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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