調査報告について / REPORT

平成27年11月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、昨年4月1日の消費税率引き上げ後、実質可処分所得が減少している状況下、景気の先行き不透明感は拭えないものの、足許、国内製品など高付加価値商品が好調に売れるなど販売地合いの改善が実感されていることを背景に、全体のDIは -0.13 と、依然水面下であるものの、前々回5月調査時点での -0.54、前回8月調査時点での -0.29に比べて堅調に改善をしてきている。
 一方で、先行きに関しても、明るい見方をしている企業が多く、3カ月後の「業況判断DI」は +0.13と、平成25年2月に調査を開始して以降、初めて水面上に浮かび上がる結果となった。
 販売動向に関しては、「やや良い」とする企業が全体の20%、一方で、「悪い」「やや悪い」と判断する企業が33%となるなど、販売状況に対する判断では、企業による強弱が拮抗しており、全体としては一進一退との印象。
 この間、急激な円安傾向に一服感があることや、足許原料綿糸価格の低下を主因にドル建て輸入コストが徐々に下がっていることを背景に、仕入価格が足許さらに上昇していると考えている企業は13%と、前回(14%)、前々回調査時(23%)に比べ、仕入価格の上昇局面には後退感が窺われる一方で、全体の8割方の企業は、「変化なし」と回答をしている。
 一方で、販売価格に関しては、「下降した」と答える企業が皆無となり、一方で「上昇した」と判断する企業が13%となるなど、多くの企業が「変化なし」を選ぶ中にあっても、全体景気回復の実感が強まる中で、仕入価格のアップを販売価格に転嫁する動きも一部で顕在化してきている。  この間、在庫水準に関しては、「不足」と答える企業がない半面、「過剰」と答えた先が47%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は持続している。


Q. 業況判断に関する質問
 経営マインドに関する質問である「業況判断」の結果を見ると、今回調査では、- 0.13 と依然水面下の水準とはいえ、今年5月調査時点での -0.54、前回8月調査時点の -0.29 と比べて着実な改善傾向が窺われている。今回も「良い」と判断した企業はないものの、「悪い」と答えた企業が、平成25年2月に調査を始めて以来はじめて皆無となったことが、DIの改善に寄与。この間、「やや悪い」と答えた企業が全体の27%を占めている一方で、「やや良い」と判断している企業も全体の13%を占めるなど、強弱どちらもみられるかたちで全体の数字が上がってきている印象である。
 業況判断DIは、平成27年2月に -0.69を付けたのを直近の底として、3か月ごとの調査では改善方向に進んでいることがより顕著に表れてきている。
 これは、日本全体の景気が徐々に上向いてくる中、「海外、国産品ともに品質の良い商品が好調」であるなど、国内産タオルを中心に高付加価値路線が堅調に推移していることが基本的な背景であると考えられている。
 また、輸入品においては、円安傾向が一服してくるなか、過去から努力していた販売単価の引き上げが徐々に浸透しているとの分析も聞かれるところで、一時に比べて利幅も回復傾向にあることも、マインドの向上に一役買っていると思われる。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 また、3か月先の業況に関する判断DIについては +0.13 と、平成25年2月の調査開始以来、初めて水面上に上がった結果。これは、「悪い」と答える企業がなくなったこと、「やや良い」と答える企業数が全体の33%を占め、「やや悪い」と答える企業数を上回ったことが理由である。

 こうした見方の根底には、アベノミクスによる株高、円安の効果として、目先大企業のベースアップや一時金支給額アップなどもあり、その効果として、消費が刺激を受けて改善方向に向かうであろうとの判断も見られ、景気が拡大局面であることに対して、引き続き多くの企業が自信を持っている表れであろうと考えられる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」と判断する先はなく、「やや良い」と判断する企業が全体の20% と、前回8月調査時点の29%と比較して少し悪化する結果となっている。また、全体の33%の企業が「やや悪い」「悪い」にマークしているなど、全体の判断としては、「良い」と判断する企業数と、「悪い」と判断する企業数がほぼ拮抗していた前回調査に比べて、少し後退する判断となっている。
 会員企業では、「海外品、国産品とも、品質の良い商品が好調」「全体的な景気マインドの回復を受けて、直近歳末商戦などは堅調に推移」などの声が聞かれる反面、「世間で言われているような外国人観光客によるインバウンド消費による増収は全くない」、「輸入品の廉価商品など、付加価値の低いものは荷動きが悪い」などの指摘もあり、好悪相まって、販売状況の改善は一進一退の印象がある。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、今回調査では、前月に比べて「下降した」とする企業がなくなり、「上昇した」とする企業が13%を占めるなど、販売価格が上昇に転じる動きがみられている。前回8月調査では、16%の企業が「下降した」、77%の企業が「変化なし」と回答するなど、大半の企業では販売価格が上昇する動きはない状況であったことに比べると、大きな変化と受け止めることができよう。
 これは、輸入品で仕入コストのアップを販売価格に転じようとする努力が長い間にわたってみられたものの、「定番切り替えのタイミングでなければ価格改定に応じない」というチェーンストアの姿勢や、景気の先行き不透明感等から、円安による採算悪化を売値に転嫁することがなかなかできずにいたが、昨今の景気全体に対する明るい兆しや、大企業中心とした賃金や一時金支給額アップなどの材料を受けて、徐々に値上げが浸透しつつあるということが背景にあるものと思われる。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では13%の企業が前月に比べて「上昇した」、80%の企業が「変化なし」、7%の企業が「下降した」と判断するなど、企業による差はあるものの、全体としては概ね変化の振幅が小さくなってきている状況が窺われる。「上昇した」と答える企業数は、2月調査では33%、5月調査23%、前回8月調査では14%と徐々に低下してきており、円安基調で長らく続いてきた仕入価格の値上がり傾向に一服感があると判断する先が増加していることが推察される。  また、今回は逆に「下降した」と回答する企業も7%存在しているが、これは、中国などでのドル建て輸出価格が原料綿糸価格の下落を反映して弱含んでいることや、このところの円ドル相場が、以前に比べ円安水準にあるとはいえ安定的に推移していることも、この判断の根拠となっていると思われる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても、前回までの調査と同様に「不足」と答えた企業がなく、「適正」と答えた企業が全体の53%、「過剰」と答えた先が47%となっている。
 全体としては、輸入仕入コストが円安で上昇する中、在庫回転率を上げて、仕入数量を抑えようとする企業がみられるものの、依然として、「過剰」と答える企業も多く、流通段階での、だぶつき感がある状態は持続しているといえる。

以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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