調査報告について / REPORT

平成29年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、個人消費の不振を背景に、全体のDIは -0.55 と、前々回2月(-0.57)、前回5月調査時点(-0.63)に比べ、若干の改善傾向がみられるとはいえ、引き続き低水準での横ばい圏内の動きとなっている。
 一方で、先行きに関しては、「国内製造タオルの販売好調は持続している」ことなどから、「業況判断DI」は -0.27 と、足許よりも改善するとみている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや良い」と判断する企業が18%を占めるなど一部で改善している一方で、「悪い」、「やや悪い」と判断する企業が54%と前回調査と同水準となっていることから、販売状況に対する判断では、全体的にみると、芳しくないとする見方が大勢を占めている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、大半の先で「変化なし」と回答しているなど安定している傾向にあるものの、3割近い先で、原料綿花価格の上昇、運賃など経費の上昇を材料に、仕入価格が上昇したとしており、今後の仕入価格に関しては、「予断を許さない」と警戒する向きも多く見られている。
 一方で、販売価格に関しては、「下落した」とする先が18%、「上昇した」とする先が8%となる一方で、7割を越える先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。
 この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が63%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は強まっている。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、ここ半年に調査結果では、本年2月調査は-0.57、5月調査では -0.62と極めて厳しい状況判断が持続していたが、今8月調査においても、-0.55と若干の改善傾向がみられるとはいえ、概ね低水準での横ばい圏内での動きとなっている。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

このところ可処分所得の伸び悩みを背景に消費全体が低迷しており、そのトレンドを反映して「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」「食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでいる中、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振が持続している傾向に変わりはない。
個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、この傾向を如実に示しているといえる。もっとも、百貨店売上全体では4月以降、チェーンストア売上高全体では本年7月以降、久しぶりに前年を上回る推移となってきており、消費全体は復調傾向がみられることから、業況判断も一部先では改善傾向にあるとの認識を示している。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、
店舗数調整後
29年1月29年2月29年3月29年4月29年5月29年6月29年7月
百貨店売上高
(「その他衣料品」分野)
-4.9-3.7-6.2-2.5-5.4-3.2-3.2
チェーンストア売上高
(「その他日用雑貨品」分野)
-5.0-4.2-3.6-0.2-1.4-1.1-0.1

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては -0.27 と、足許の判断 -0.55 に比べては大きく改善傾向にあり、前回2月調査(- 0.30)に比べても若干の好転を示している。これは、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が36%と前回調査比あまり変化がない中で、先行きが「やや良い」と答える先が18%と増加傾向にあることを反映しており、足許の状況に関しては不透明ながら、先行きについては少し明るい見通しを持っている先が増加していることが窺える。
 こうした見方の根底には、引き続き国内製造の高付加価値タオルに関しては販売好調が持続するだろうとの予測があると思われ、先行き一定の安定感を持っている経営マインドの現れであろうと思われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、「良い」、「やや良い」と判断する先がなかった前回に比べれば、今回調査では18%の先で「やや良い」との判断に上方修正している。ただ、「どちらともいえない」とする先が全体の28%をしめ、「やや悪い」「悪い」とする先は54%と前回調査並みの水準にあることを考えれば、一部先では改善しているものの、全体としては芳しくないとの判断が持続していると考えられる。
 会員企業では、春より夏にかけて個人消費が若干改善したことを背景に、「店等では6月下旬以降EOSの動きが堅調である」「定番品の動きは相変わらず悪いが、セール品は好調に販売が進んでいる」などの声が一部で聞かれる一方、「今治産地の商品も出回りすぎて少し売行きに陰りがある」など、このところ順調に販売を伸ばしていた国内産のタオルの販売にもスローダウン傾向がみられるとの声が一部では聞かれるほか、「定番商品の動きが鈍い」「ギフト離れの影響がある」など、中期的な悪材料を指摘する向きも多く見られている。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では27%の先が「上昇した」と判断しており、前回調査時点(15%)、前々回調査時(7%)に比べ、値上がりを指摘する先が増加している。こうした判断の根底には「世界的に上昇してきている原料綿花価格の問題」や、「国内タオル製造での加工費アップ」、「運賃などの物流費アップ」をその原因として指摘する声もある。
 一方で、73 % の先が「変化なし」と回答しており、仕入価格は、先行きに対しては「原料高、円安、製造コスト、物流コスト等の上昇要因が不透明」など不安を持つ向きもあるものの、全体としてみれば、引続き概ね安定している傾向が持続している。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、前回調査では8%の先が「上昇した」と判断していたが、今回調査時点では、「上昇した」と判断した企業はなくなった。「変化なし」が82%、「下降した」が18%となっており、「多くの先が「変化なし」と判断し、全体としてはあまり変化がみられない」とする大きなトレンドに概ね変化はないと考えられる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においては、「適正」と答えた企業が全体の 37% 、「過剰」と答えた先が 63%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が多くなっている。前回調査では、「不足」と答える先が8%みられたものの、今回は不足と答える企業がなくなり、「過剰」と答える企業の比率が前回調査時の30%に対して倍以上の比率になるなど、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感が強まり、荷あまり状態は持続しているところである。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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