調査報告について / REPORT

平成30年2月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は -0.85と、平成27年11月以来の高水準を記録した前回調査( -0.23)とは打って変わって、非常に厳しい水準の判断となった。
 一方で、先行きに関しても、足許の厳しい判断状況に鑑み、「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」などの声を反映する形で「業況判断DI」は -0.62 と、引き続き厳しい状態が持続すると考えている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「良い」「やや良い」と判断する企業がなく、「悪い」、「やや悪い」と判断する企業が85%にのぼるなど、大変厳しい販売地合いが続いているとの判断が多数を占めている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、全体の2割強の先が「上昇した」と判断しているが、6割以上の先で「上昇した」と回答した前回11月調査に比べると、値上がり感は後退していると言える。大きな要因としては、原料綿花相場の上昇一服感の拡がりと、足許の円高基調による輸入コストのダウンが指摘されるところである。
 一方で、販売価格に関しては、「下落した」とする先が8%みられているが、9割を越える先で「変化なし」と回答しており、販売価格は総じて安定していると判断されるところである。
 この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が54%に上るなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は、依然として高水準にあると考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、ここ1年の調査結果では、29年5月調査では -0.62、8月調査においても -0.55と、極めて厳しい判断が持続していたが、前回11月調査では「やや良い」と判断する企業数が増加したことを受けて、-0.23と大きくDIは改善する結果となっていた(この水準は平成27年11月に記録した -0.13以来の2年ぶりの高水準)。  しかし、今回調査では、「良い」「やや良い」と答える先がなくなったこと受け、-0.85と再び大きく落ち込む結果となっている。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 全体としては、可処分所得の伸び悩みを背景に消費全体が低迷しており、そのトレンドを反映して「不要不急のタオル製品に対する財布のひもは固いまま」「一部インバウンド需要のみられる化粧品、宝飾品を除いてみると、食料品以外の個人消費は基本的に伸び悩んでいる中、特に百貨店店頭での売れ行きが芳しくない」など販売不振が持続している傾向に変わりはないうえ、
 利益面を注視して、「人手不足の影響から運賃や加工賃の上昇に歯止めがかからない」一方で、「販売単価が上がるような要因がない」ことから利鞘が圧迫されて繰り回しが厳しくなっているとの指摘も見られるところである。
 また、国産タオル製品も「市場での行き渡り感から別注品の引き合いが減少している」などの指摘も一部では見られている。

 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、大きな流れでは、この傾向が持続しているといえる。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 29年9月10月11月12月30年1月2月
全国百貨店売上高合計4.4-1.82.2-0.6-1.2-0.9
「その他家庭用品」分野-3-9.8-2.6-5.6-9.3-5.6
全国チェーンストア売上高合計-0.3-1.9-0.60.90.61.3
「住関品 日用雑貨品」分野-3.9-7.4-4.9-3.5-3.6-1.8
「住関品 家具インテリア」分野2.40.1-0.73.33.70.5

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについても、足許の判断よりは回復したものの -0.62と、前回11月調査(-0.23)に比べて大幅に悪化した。これは、先行きが「やや良い」と答える先が8%(前回11月調査は23%)に留まっているうえ、「やや悪い」、「悪い」と判断する先が前回より大きく増加して全体の61%を占めるなど(同38%)、足許の悪化した判断を反映して、先行きに関しても悪化した見方を示す企業数が増加している傾向が窺われる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、足許の販売状況は、全体としては改善傾向が窺われた前回11月調査に比べて、「良い」、「やや良い」と判断する企業がなくなった一方、「悪い」「やや悪い」と判断する先が85%を占めるなど、大幅に悪化した結果となっている。
 会員企業では、「今治産地の商品も出回りすぎて別注品中心に引き合いが少なくなっている」などの声も聞かれるほか、「チェーンストアの不振が長引き、閉店する店舗数が増加してきていることから、トータルの売り場面積が少なくなってきている」などの構造的な指摘も聞かれるところである。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、前回同様「下降した」と答える企業がない一方、今回調査では23%の先が「上昇した」と判断しているが、これは前回調査時点(61%)に比較すると大きく下がってきている。こうした判断の根拠としては、人手不足に因る運賃や各種製造加工賃の値上げは引き続きあるものの、「一時大きく高騰していた原料綿花の相場が大分落ち着いてきた」ことに加え、「110円以上に進んでいた円相場が足許105円程度まで円高に推移するようになり、輸入コストは上昇圧力が減っている」ことが大きな要因として考えられる。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、前回調査では7%の先が「上昇した」と判断していたが、今回調査では「上昇した」とする先はなくなる一方で、8%の先が「下降した」と答えている。この間、「変化なし」と答える先は92%に上っており、「全体としてはあまり変化がみられない」とする大きなトレンドに概ね変化はないと考えられる。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においては、「不足」と答えた企業はなく、「適正」と答えた企業が全体の 46% 、「過剰」と答えた先が 54%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が多くなっている。 前回調査に比べると、「過剰」と答えた先の割合は少し増えている(前回調査では46%)が、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感は依然として強く、荷あまり状態は持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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