調査報告について / REPORT

平成31年2月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は -0.57と、8月調査(-0.60)、11月調査(-0.54)に比べて横這い圏内での動きとなっており、依然として非常に厳しい水準の判断が持続。
 一方で、先行きに関しては、「大型連休などもあり消費活動が活発化することが期待される」などの声もあり、三ヶ月先の「業況判断DI」は -0.36 と、前回11月調査(-0.54)と比較して改善されている。しかし、水準は依然大幅なマイナス圏内の動きにとどまるなど、引き続き厳しい状態が持続すると考えている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「やや悪い」「悪い」と答える先が全体の57%にのぼるなど、厳しい販売地合いが続いているとの判断が多数を占めており、前回11月調査時点よりも全体としては悪化する結果となっている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、全体の64%の先が「上昇した」と判断しており、全体としては上昇基調が続いている。要因としては、人手不足に因る運賃や加工賃等の上昇にくわえ、副資材品のコストアップも指摘されるところである。
 一方で、販売価格に関しては、前回11月調査では4割弱の先で「上昇した」と判断していたが、今回調査では、引き続く仕入価格の上昇に対して、「同じ得意先に何度も値上げ申請ができない」など、「上昇した」と回答する先は14%にとどまっており、販売価格への転嫁ピッチが相対的に下がってきている印象である。
 この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が半数以上にのぼるなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は、依然として高水準にあると考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、昨年2月調査で記録した-0.85をボトムに徐々に判断は改善してきている傾向が続いていたが今回2月調査では -0.57と前回11月調査( -0.54 )に比べて若干低下する結果となり、水準についても、大幅なマイナス圏内での動きとなっているなど、各社の判断は引き続き大変厳しい状況が持続している。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、タオルの属するカテゴリーの売上は、長きに亘り前年を下回っているトレンドが持続しており、大きな流れではこの傾向が持続しているといえる。

 また足許については、「買上げ点数、客単価とも低下傾向がみられる」など「店頭での販売に勢いがみられない」との指摘が多く聞かれている。また、このところ消費全体を牽引してきたインバウンド需要に関しても、「峠を越した感が広がっており、日用品への需要はめっきり減っている」「観光客も大都市や京都、奈良など一点集中から、全国に分散している傾向があり、一段の塊として捉えることができなくなりつつある」などと、需要の手応え感がなくなりつつあるとの意見もみられた。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 8月 9月 10月 11月 12月 1月
全国百貨店売上高合計 -0.2 -3.0 1.6 -0.6 -0.7 -2.9
「その他家庭用品」分野 -6.8 -9.6 -5.0 -6.1 -7.0 -2.7
全国チェーンストア売上高合計 0.1 1.9 -0.7 -2.5 -0.7 -3.4
「住関品 日用雑貨品」分野 -1.1 0.5 -3.4 -1.5 -0.9 -0.1
「住関品 家具インテリア」分野 0.4 2.2 2.0 2.0 3.8 3.0

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 こうした中、ここしばらくタオルの仕入価格は毎月のように上昇傾向にあるが、今回調査では、「同じ得意先に何度も値上げ申請はできない」など、販売価格に転嫁している動きは一部に留まっており、「売値への転嫁が充分でないので、利ざやが減ってきている」などの声も多く聞かれるところである。このほか、配送コスト、副資材コスト、人件費など上昇に転じているものが多く、これが「利益を圧迫している」との指摘も多く聞かれるところである。
 結果、今回2月調査では、業況判断DIは -0.57 と前回11月(-0.54)、前々回8月(-0.60)に比較すると、改善は見られず横這い圏内の動きとなっている。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては、先行きの判断は-0.36と、足許から改善の予想をしている先が多い。数値的には、前回11月調査での-0.54に比べると、大きく改善した判断となっている。
 これは、「足許景況感は変わらないものの、大型連休や消費税率引き上げ前の駆け込み需要が期待される」など明るい材料もみられることが背景にあると考えられるが、全体の水準的には、引き続き大幅なマイナス圏での動きが持続する結果となっている。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、前回11月調査では8%の先が「良い」、15%の先が「やや良い」と回答していたが、今回調査では「良い」と回答する先はなくなり、「やや良い」と判断する先も14%にとどまるなど、判断は全体的に後退している。また、「悪い」「やや悪い」と判断する先も57%と、前回11月調査(46%)に比べて悪化する結果となっている。
 一部の先では、「今年の新規投入アイテムが好調」、「新規得意先の開拓に成功して売上増に寄与」などという明るい声も聞かれるところであるが、前回調査で指摘されていた「お土産需要など特定の取引先が大変好調」などのインバウンド効果に関しては、「峠を越した感があり、化粧品を始め雑貨全体にも停滞感が漂っている」など、今年の旧正月前後では活発な伸びは感じられなかった模様。インバウンド需要の伸び悩みには、「中国や東南アジアからの旅行客はリピーターが増加して、モノの消費からコトの消費へ移りつつある」、「以前と違って観光地に一極集中しなくなったので、需要動向がつかみにくくなった」ことが背景にあると考えられ、一時消費の起爆剤と期待されていたインバウンド需要も、そろそろ期待できなくなりつつある、との指摘もみられるところ。
 こうした動きを反映して、全体的としては、販売動向は、依然として厳しい状況が持続していると判断される。

 また、前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、前回11月調査では、「下降した」との判断をする先はなくなっていたが、円高の進行により輸入コストが若干下がったという側面もあり、今回調査では、一部の先で「下降した」との回答がみられた。
 しかし、一方で、「上昇した」と判断する先が64%と、前回調査(69%)に比べてその比率は若干下がったものの、多くの先で値上がりを指摘しており、全体としては引き続き上昇基調にあるといえる。
 こうした判断の根拠としては、大阪泉州など国内メーカーが、原油高等を背景とする資材、燃料費高騰や、人手不足による運賃や各種製造加工賃の値上げなどを理由に、製品価格の値上げを強く求めていることに加え、さらに、米中の貿易摩擦の激化が国際経済や各種国際価格に上昇圧力を与えるのではないかと先行きを懸念する声も聞かれるところ。

 一方で、前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、14%の先では、製品仕入価格の上昇を製品販売価格に転嫁していることを背景に「上昇した」と答えている一方、50%の先で「変化なし」、また36%の先で「下降した」と答えているなど、会員企業間で強弱入り乱れる判断となっている。現在、国内製品を中心に仕入価格が上昇していくことが持続しており、顧客への価格転嫁できるかどうかの帰趨が全体の傾向に大きな影響を与えてくると思われるが、なかなか価格転嫁は順調には進んでいない様子が覗われる結果となっている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても「不足」と答えた企業はなく、「適正」と答えた企業が全体の 43% 、「過剰」と答えた先が 57%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が依然として多い傾向が持続している。 前回調査に比べると、「過剰」と答えた先の割合は少し減少(前回調査では62%)しているものの、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感は依然として強く、荷あまり状態は持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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