調査報告について / REPORT

2019年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は -0.66と、2月調査(-0.60)、11月調査(-0.57)に比べて少しずつ悪化しつつ横這い圏内での動きとなっており、依然として非常に厳しい水準の判断が持続。
 また、先行きに関しても、三ヶ月先の「業況判断DI」は -0.58と、5月調査の -0.60に比べて大きく変わりなく、水準は依然大幅なマイナス圏内の動きにとどまるなど、引き続き厳しい状態が持続すると考えている先が大勢となっている。
 販売動向に関しては、「良い」と答える先はなく、「やや良い」が全体の17%となるものの、「やや悪い」「悪い」と答える先が全体の58%にのぼるなど、厳しい販売地合いが続いているとの判断が多数を占めている。
 この間、前月に比べて仕入価格の上下を問う質問では、前回5月調査では、全体の27%の先が「上昇した」と判断していたが、今回調査では「上昇した」とする先は8%にとどまるなど、このところ連続していた仕入単価の上昇圧力も一服感が窺われる。一方で、配送コスト、副資材品コストなどのアップに関しては「深刻になってきている」との指摘も聞かれるところである。
 一方で、販売価格に関しては、今回調査では、「上昇した」と回答する先はなくなり、全社で「変化なし」が選ばれるなど、販売価格への仕入価格の上昇分転嫁の動きは一服しており、「以前に比べて利ざやが薄くなっている」と感じる先が増えている印象である。  この間、在庫水準に関しては、「過剰」と答えた先が半数以上にのぼるなど、全体としては、流通段階のだぶつき感は、依然として高水準にあると考えられる。


Q. 業況判断に関する質問
 業況判断DIの最近の推移をみると、昨年2月調査で記録した-0.85のボトムに比較すると改善した水準にあるとはいえ、今回8月調査では -0.66と、前回5月調査(-0.60)、前々回2月調査(-0.57)に比べて徐々に低下する結果となり、水準についても、大幅なマイナス圏内での動きとなっているなど、各社の判断は引き続き大変厳しい状況が持続している。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 個人消費を反映する百貨店売上、チェーンストア売上高の足許の推移を見ても、それぞれ販売総額は既存店で前年を下回るかたちが持続するなど全体として不芳な状況が持続している。タオルの属するカテゴリーの売上は、チェーンストア向けでは昨対近辺またはプラスの動きとなっているものの、百貨店向けでは高級な商材の店頭売上が芳しく無く、長きに亘り前年を大きく下回るトレンドが持続している。
 5月以降の状況については、5月は改元による祝賀ムードの盛り上がりや10連休になったゴールデンウイークに加え、「中旬は非常に気温が上がり夏物衣料中心に前倒し販売ができた」など良い材料があった反面、「連休明けの店頭は反動で閑古鳥が鳴いている」「店頭での販売に勢いがみられない」との指摘が多く聞かれるなど盛り上がりを欠く展開が持続していたところであった。一方で、6~7月は平年に比べて太平洋側を中心に全国的に気温が低く、雨が多い状況で推移したことに加え、7月の梅雨明けが下旬までずれ込んだ影響を受けて、7月の小売売上は前年同期を大幅に割り込む厳しい状況となった(7月は日曜日が前年比で1日少なかったことも影響)。
 足許8月以降は、盛夏到来による夏物商品の荷動きが急速に活発化したことのほか、9月には消費税導入前の特需が家電など一部アイテムで顕著であったことなどから、若干の盛り返しをみているところであるが、先行きの見通しに関しては、「消費税の導入後の反動もあるだろうので、消費の行方は不透明である」との指摘が多く聞かれるところ。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 2月 3月 4月 5月 6月 7月
全国百貨店売上高合計 0.4 0.1 -1.1 -0.8 -0.9 -2.9
「その他家庭用品」分野 -6.8 -10.9 -7.2 -8.3 -6.4 -6.0
全国チェーンストア売上高合計 -2.5 0.5 -1.0 -0.7 -0.5 -7.1
「住関品 日用雑貨品」分野 0.3 1.2 -1.8 0.3 -0.6 -1.8
「住関品 家具インテリア」分野 2.5 3.5 13.3 1.1 1.6 -8.9

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 こうした中、ここしばらく毎月のように上昇傾向にあったタオルの仕入価格は、一巡感や原料綿糸価格の下落などを受け、上昇ピッチが止まった印象にあるが、販売価格においても「同じ得意先に何度も値上げ申請はできない」など、販売価格に転嫁している動きはみられなくなってきていることから、「まだ売値への値上げ転嫁が充分でないので利ざやが薄くなっている」状況には改善がみられていない状況が持続している。この間、ネット通販の増加を背景にした運送頻度の増大が配送運賃コストのアップという形で押寄せてきていることに加え、副資材コスト、人件費なども引き続き上昇していることなどから、これらが「利益を圧迫している」との指摘も多く聞かれるところである。

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては、先行きの判断も足許と同じく-0.58 と、依然として低迷を予想している先が多い。数値的には、前回5月調査での-0.6に比べても、殆ど変わらない水準で大きく悪化した判断となっており、先行きに関しても慎重な見方をする先が多く、全体の水準的には、引き続き大幅なマイナス圏での動きが持続する結果となっている。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 会員企業では、一部の先では「8月の気温の急上昇で夏物関係商品が順調に動いた」との声も聞かれ、「良い」、「やや良い」と判断する先も17%と、前回調査時点(7%)に比べて増加する動きが有るものの、「悪い」「やや悪い」と判断する先は58%となり、前回調査(47%)に比べて悪化するなど、販売地合いの判断は調査先によって異なってきつつある印象が強い。
 すなわち、一部の先では、「ネット販売の顧客の業況は良いようである」「今年の新規投入アイテムが好調」、「7月下旬の梅雨明けから一気に夏物がはけた」などという明るい声も聞かれるところである一方、「例年に比べて別注などの見積もり依頼件数が減ってきている」「古くから取引をしている既存先の中には大きく売上を落としている先が散見される」「10月の消費増税が直前となり、消費者の財布の紐も固くなっている」でなどの指摘もあり、各社の判断もまだら模様となっている。
 インバウンド効果に関しても、「峠を越した感があり、化粧品を始め雑貨全体にも停滞感が漂っている」など、足許引き続き活発な伸びは感じられなかった模様。インバウンド需要の伸び悩みには、「中国や東南アジアからの旅行客はリピーターが増加して、モノの消費からコトの消費へ移りつつある」、「以前と違って観光地に一極集中しなくなったので、需要動向がつかみにくくなった」ことが背景にあると考えられ、一時消費の起爆剤と期待されていたインバウンド需要も「そろそろ期待できなくなりつつある」との指摘もみられるところ。
 こうした動きを反映して、全体的としては、販売動向は、依然として厳しい状況が持続していると判断される。

 前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、今回調査では「上昇した」と判断する先は8%にとどまり、前回5月調査(27%)、前々回2月調査(64%)に比べて大きく低下してきている。また「下降した」と回答する先はなく、92%の先は「変化なし」を選んでおり、ここしばらく持続していた仕入価格の上昇局面は、一旦沈静化しつつあると判断することができる。
 一方で、「大きな荷物の荷運びを拒否され荷物の口数が増加するので、結局運賃コストが上昇」「景気の好循環のせいかコンテナドレエ代が上がってきている」「副資材コストの上昇はじわじわと効いてきている」などの指摘も多く、タオルそのものの仕入単価の上昇は一服感があるものの、周辺コストの上昇に関しては、「引き続き予断を許さない」と考える先が多くみられる。

 前月との比較で販売価格の変化を問う質問では、前々回2月調査では36%の先が選んでいた「下降した」との判断について、前回5月調査、今回8月調査では一先もなくなっているなど、販売価格の安定化の兆しがみられている。
 その一方で、100%の先で「変化なし」と回答、「上昇した」と答える先は全く無く、このところ連続して上昇してきていた仕入価格のアップを得意先に転嫁していく動きについては、なかなか進展せず、一段落してしまった様子が窺われるところである。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、今回調査においても「不足」と答えた企業はなく、「適正」と答えた企業が全体の 42% 、「過剰」と答えた先が 58%を占めるなど、荷動きに停滞感を持つ企業が依然として多い傾向が持続している。 前回調査に比べると、「過剰」と答えた先の割合は少し増加(前回調査では53%)しているおり、業界全体としては、流通段階でのだぶつき感は依然として強く、荷あまり状態は持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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