調査報告について / REPORT

2021 年2月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は、1月以降第三波対応策として出された大都市周辺地域での緊急事態宣言を背景に消費が急速に縮小したことを受け -1.31と非常に厳しい水準をつけている。これは、ここ半年ほど徐々に改善していた流れが反転したかたちとなっている。一方、先行きに関しては、三ヶ月先の「業況判断DI」は -0.67と厳しい水準ながら足許と比較すると「改善していく」と考えている先が増加してきている。

 また販売動向に関しては、「やや悪い」「悪い」と答える先が全体の85%にのぼるなど、「販売状態は依然として厳しい水準である」との判断が多くを占めている。

 また、前月に比べて仕入価格、販売価格の上下を問う質問では、大半の先では「変化なし」、また一部の先で「下落した」としており、大勢としては前回調査時点に比べて大きな変化はなく、値上がり局面にないと判断されるものの、足許原料綿花価格の高騰、円安などコストが上がる材料もあり、先行きについては予断を許さない状況となっている。

 この間、在庫水準の評価は依然「過剰」との声が多く、流通在庫過多の状況には変化がないものと思われる。


Q. 業況判断に関する質問
 今回調査の業況判断は -1.31 と春先のコロナ禍における緊急事態宣言下にあって調査開始以来の既往ボトムをつけた5月調査(-1.67)以降、8月(-1.31)、11月調査(-1.17)と徐々に景況感は改善してきていたが、11月以降の新規感染者の急拡大を背景に年初より二回目の緊急事態宣言が全国11都府県に出されたことを受け、再び大きく水準を下げる結果となった。今回調査の判断では、「悪い」「やや悪い」とネガティブに判断されている先が92%と殆どを占めており、状況の深刻さが浮き彫りになっていることも特徴。

*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 この間、個人消費を反映する百貨店売上の足許の推移をみると、5月以降月を追うごとに徐々に改善してきていたものの、第三波の新規感染者数の増加から年末商戦も入込客の減少を背景に10%以上前年同期を割れている結果となったのに加え、年明け以降新たに11都府県で緊急事態宣言が出されたことで再度時短営業を余儀なくされ1月は前年同期を30%近く割れている結果となるなど、極めて厳しい情勢となっている。
 一方で、チェーンストア売上高は、巣ごもり需要を反映して、食料品を中心に堅調な販売地合いを続けており、住居関連商品である日用雑貨品や家具、インテリア商品も前年同期を上回る販売結果を示している。
 しかし総じては、都市部で緊急事態宣言が出る中、小規模の小売店は時短営業を余儀なくされる中で販売不振にあえいでおり、個人消費全体をみると、爬行性はあるとはいうものの概ね厳しい販売地合いが続いていると言える。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
全国百貨店売上高合計 -22.0 -33.6 -1.7 -14.3 -15.9 -29.7 -10.7
「その他家庭用品」分野 -11.5 -24.1 10.8 -8.8 -8.9 -20.5 1.5
全国チェーンストア売上高合計 3.3 -4.6 2.8 1.2 2.7 1.2 -2.1
「住関品 日用雑貨品」分野 2.5 -11.2 3.8 3.8 2.2 0.3 -7.7
「住関品 家具インテリア」分野 7.9 14.4 4.4 4.3 10.5 -4.9 6.1

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 一方で、3か月先の業況に関する判断DIについては、今般の不透明感の主因であるコロナウイルス禍の消費への影響も「夏ごろに向かっては新規感染者数も減ってきて、さすがに徐々に改善されていくだろう」「オリンピック聖火リレーが始まるなど全国的にはお祭りムードもでてくるとおもわれる」との見方などから -0.67と足許の判断(-1.31)に比べ高い水準にあるほか、11月調査(-0.91)時点に比べても改善傾向がみられるなど、先行きに関しては徐々に明るい兆しがみえると判断する先が多い。もっとも、「足許梅春商戦は全く盛り上がりを欠いている」「法人の名入れ需要が芳しくない上、イベント需要は大きく落ち込んでいる」などと悲観的な見方の先も多いうえ、「長引く混乱で今後信用不安が増すのではないか」と取引先の倒産などを心配する向きもでてきており、先行きに対する判断も引き続き低水準にとどまっている状態が続いている。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 販売動向に関する状況をみると、前回11月調査では、「悪い」と判断する先が50%、加えて「やや悪い」と判断する先25%を入れると、全体の75%の先が悪い方向に判断していたが、今回2月調査では、85%の先で「悪い」「やや悪い」と悪い方向に判断しており、販売状況は徐々に悪化しているという印象である。チェーンストア売上など一部では好調な状況もみられるものの、特に百貨店売上の落ち込みも激しく、消費全体としては極めて厳しい水準にあると判断されている。

 この辺の事情をやや詳しく見ると、2020年2月後半以降、中国ほかからのコロナウイルス罹患者の入国を妨げる措置が取られ、国境を事実上閉鎖していることから外国人の入国が極端に減少、インバウンド需要は皆絶に近い状態になっており、先行きの改善見通しも立たない状況。 
 また、全国的には、年末に向かって第三波の新規感染者増があり、1月以降非常事態宣言が11都府県に出されるなど、大都市圏では店舗の営業時間短縮が行われ都市部の入り込み客数が再度大きく減少するなど、極めて状況は緊迫している。この間、「巣ごもり需要」は高まり、ECによる消費も大きく進展したものの、消費全体から見ればその比率はまだまだ低く、販売状況全体の向上に寄与するレベルにはなっていないと思われる。
 こうした状況下、マスク、除菌液などの衛生商品や巣ごもり生活支援グッズなどは好調な売行きを示すなど、ドラッグストアやホームセンターなどでは活況を呈する売り場も散見されるほか、外食の減少を背景にスーパーでの食料品需要も堅調な動きを見せているなどの動きもみられている。
 一方、タオル製品の製造や輸入面から見た数量に関してみると、全国の流通量の8割を締めている輸入タオルは、通関統計(2020年1月~12月)によると前年同期比80%の仕上がりとなっているほか、国産商品に関しても、産地での綿糸受渡量統計から類推するに、今治タオルが同73%程度(同期間)、泉州タオルが同86%(同期間)程度となっており、タオル製品流通量は概ね2019年の8割程度となっている模様。
 タオル製品の需要や販売先は多岐にわたっており、様々な分野での爬行性があるものの、コンサートやスポーツイベントの激減や、ホテル、旅館での稼働率の低下、百貨店売上の減少などが全体の数字を引き下げる方向に作用していると思われる。

 前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、31%の先で「下降した」と判断しているほか69%の先では「変化なし」と回答しており、現状仕入価格は上昇していない模様。しかし、足許原料綿花の国際価格が非常に高い水準で推移しているほか、為替相場において円安が進むなど輸入商品が値上がりする兆しを見せていることが不安材料として散見される。  また、販売価格の変化を問う質問においても、8%の先で「上昇した」と回答しているものの、31%先で「下落した」と回答しており、仕入、販売価格においては、需要低迷を背景に足許一部では低下する方向がみられている。

Q.在庫動向に関する質問
 在庫水準に関しては、コロナ禍の影響から小売店での販売が滞っているほか、ホテルの稼働率低下の影響、イベント自粛の影響などから、売上の減少とともに商品の回転率が下がってきており、その結果として在庫が過剰になりがちな情勢。
 今回2月調査では、在庫が「過剰」と判断する先は全体の62%にのぼり、前回11月調査(67%)と同様過剰感が強い傾向となっており、在庫過多の状況が持続していると思われる。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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