調査報告について / REPORT
2021 年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース
所謂、新型コロナ第3波における4月下旬からの緊急事態宣言は6月下旬に沖縄を除き解除されたが、新規感染者数が再び上昇に転じ、7月上旬に東京から順次再発出、まん延防止等重点措置を合わせると33都道府県に拡大するまでに至った。また、記録的大雨の影響も加わり、消費動向は足踏み状態となり、アンケート対象のタオル流通会員企業の今調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は足許 -1.21 と、前回5月調査( -1.26 )に引き続き非常に厳しい水準となっている。
一方、三ヶ月先の「業況判断DI」は -0.93 と、コロナ禍の解決も見通せない中、ワクチン接種の普及が進んでいることもあり、景気浮揚効果への期待感が増していることを背景に、前回調査(-1.00)に比べて好転する結果となった。
こうした環境の中、販売動向に関しては、93%の先が「やや悪い」「悪い」と回答し足元の「販売状態は依然として非常に厳しい水準である」状態。
また、仕入価格の上下を問う質問では 約64% の先で「上昇した」と回答しており前月(7%)に比べて大幅に増加。原料綿花価格の高騰がコスト負担になりつつある状況になっている。また、輸入コストも大幅に上昇する懸念もあり、先行きについては予断を許さない状況となっている。
前月に比べて販売価格の上下を問う質問では販売価格の変化を問う質問においては、22% の先で「上昇した」と回答しているものの、64% の先では「変化なし」としており、コストアップの転嫁が今後の課題となろう。
この間、在庫水準の評価は半数が「過剰」で「不足」の声がないことから、全体としては、流通在庫過多の状況には変化がないものと思われるが、コロナ禍が長引く中、各企業の在庫調整が進んでいるとみられ、前回、前々回に比べると「過剰」と回答する先が減少している。
Q. 業況判断に関する質問
今回調査の業況判断は -1.21 との結果。春先のコロナ禍における緊急事態宣言下にあって調査開始以来の既往ボトムをつけた2020年5月調査( -1.67 )以降、8月( -1.31 )、11月調査( -1.17 )、2021年2月調査( -1.31 )、5月調査(-1.26)に引き続き、低位横ばい圏内の動きとなっている。
4月下旬からの緊急事態宣言が6月下旬に解除される中、一時的に街に人出が戻り消費マインドは改善傾向にあったものの、変異株ウイルスによる感染増加で新規患者数が急速に増え、7月上旬にまた緊急事態宣言が発出されることとなってしまった。消費マインドは、ふたたび生活防衛意識の高まりから低調な推移をたどっているのが実情である。今回調査の判断では、すべての先で「悪い」「やや悪い」とネガティブな判断をしており、新規感染者数の多さからか前回よりも状況の深刻さが増していることも特徴。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。
この間、個人消費を反映する全国百貨店売上の足許の推移をみると、4月に続き、5月も前年の緊急事態宣言で営業自粛を余儀なくされた反動により、大きく伸ばす結果となったが、新規感染者数の急増とともにブレーキがかかり、6月は今年2月以来の前年同月比マイナスとなった上、7月も微増にとどまり水を差された結果となった。
一方で、チェーンストア売上高は、巣ごもり需要を反映して、食料品を中心に堅調な販売地合いを続けており、住居関連商品である日用雑貨品は全体を上回る伸びとなっているが、一方で家具、インテリア商品についてはマイナスに転じた。
▼全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移
|
前年同期比伸び率%、店舗数調整後 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
全国百貨店売上高合計 |
-65.6 |
-15.9 |
-10.7 |
21.8 |
167.0 |
65.2 |
-1.6 |
4.2 |
「その他家庭用品」分野 |
-8.9 |
-20.5 |
1.5 |
26.6 |
135.5 |
46.9 |
-6.3 |
-2.7 |
全国チェーンストア売上高合計 |
2.7 |
1.2 |
-2.1 |
1.3 |
6.0 |
2.9 |
1.7 |
4.6 |
「住関品 日用雑貨品」分野 |
2.2 |
0.3 |
-7.7 |
0.2 |
12.3 |
1.6 |
18.4 |
7.3 |
「住関品 家具インテリア」分野 |
10.5 |
-4.9 |
6.1 |
3.2 |
3.6 |
-0.1 |
-2.2 |
-11.5 |
(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による
3か月先の業況に関する判断DIについては、ワクチン接種の普及が進んでいることからか-0.93 と足許の判断( -1.21)に比べ高い水準にあるなど、先行きに関しては徐々に明るい兆しがみえると判断する先が多かった。
しかし、無観客となったコロナ禍でのオリンピックでは景気発揚効果もほとんど見られず、すべての先が「悪い」「やや悪い」と判断する結果となっている。
結果、3か月先の業況に関する判断DIは -0.93 と、足許の判断よりやや改善するものの非常に厳しい判断水準となっている。
Q.販売、仕入動向に関する質問
販売動向に関する状況をみると、「悪い」と判断する先が 29% 、加えて「やや悪い」と判断する先 64% を入れると、全体の 93% の先が悪い方向に判断しており、販売状況は依然、回復には程遠いという印象である。チェーンストア売上など一部では好調な状況もみられるものの、特に百貨店売上の落ち込みは激しく、消費全体としては極めて厳しい水準にあると判断されている。
6月下旬の緊急事態宣言の解除後、各分野で通常営業が行われ、7月の百貨店売上高でみても前年同月比では持ち直したものの、一昨年の平時に比べると未だ大きく割れた水準で推移するなど、消費者の生活防衛意識の高まりを背景に、販売動向は低調に推移している。
こうした中、変異株ウイルスの蔓延による新規感染者数と重篤患者数の急増がみられ、多くの人が自宅療養を余儀なくされるなど、全国的な医療崩壊が現実となった。所謂「第四波」に対応するため、首都圏、関西圏、中部圏を中心に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置も全国的に広く発出。百貨店、大型小売店の土日臨時休業や営業時間の縮小、イベント等の観客数の制限、飲食店での酒類提供の禁止などで、全国的に人流が抑制され、またしても一気に消費マインドを冷やす結果となっている。
前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、64% の先で「上昇した」としており、仕入価格は上昇している模様。原料綿花の価格が非常に高い水準で推移しているほか、為替相場において円安傾向にあるなど国内外問わず値上がりしているものと推察される。
また、販売価格の変化を問う質問においては、22% の先で「上昇した」と回答しているものの、64% の先では「変化なし」としている。全体的には、仕入れ価格が上昇基調ではあるが、需要低迷を背景に、販売価格に転嫁しにくい状況になっていると思われる。
Q.在庫動向に関する質問
今回8月調査では、在庫が「過剰」と判断する先は全体の50% と、前回2月調査( 62% )、前々回11月調査( 67% )に比べると昨年からの在庫調整の流れで、少しずつではあるがが過剰感は後退していると思われる。
とはいうものの、半数の先で「過剰」としている状況には変わりがなく、全体としては、在庫過多の状況が持続していると思われる。
以上
なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
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