調査報告について / REPORT

2022 年2月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 前回11月からの消費動向は、新型コロナ感染者数の減少傾向が続いたことで、外出機会と購買意欲が高まり、年末にかけて堅調に推移し、年明け1月前半は前年の緊急事態宣言下の反動もあり好転の兆しも見られたが、反面、月の後半からはオミクロン株の感染急拡大によって、まん延防止等重点措置が34都道府県に適用され、全国的に外出自粛の気運が高まったことで急速に悪化傾向へ転じた。アンケート対象のタオル流通会員企業の今回調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は足元 -1.0 と若干の改善がみられた。
 一方、三ヶ月先の「業況判断DI」は -0.82 と、足元の判断よりは期待値が高いものの、感染急拡大による景気減退の危機感が増していることを背景に、前回調査(-0.80)に比べてもほぼ横ばいの結果となった。
 こうした環境の中、販売動向に関しては、82%の先が「やや悪い」「悪い」と回答しており、前回調査に比べると悪化傾向が見られ、年明けからのオミクロン株の感染急拡大により消費回復に水を差されたことで、足元の「販売状況は依然として非常に厳しい水準である」状態。
 また、仕入価格の上下を問う質問では すべての先で前回に引き続き「上昇した」と回答しており、綿花価格の高騰、円安、コンテナ不足による輸入コストの上昇が仕入コストを直撃しており、先行きについては引き続き、非常に懸念される状況となっている。
 前月に比べて販売価格の上下を問う質問では、63% の先で「上昇した」と回答しており、価格転嫁の動きがみられるものの、未だ、前回同様40%近くが「変化なし」と回答しており、価格転嫁が進んでいない側面もみられ、現在の状態が続くと収益の悪化が懸念される。
 この間、在庫水準の評価は63%が「過剰」と答えており、前回と比べほぼ横ばいとなっており、引き続き高水準であることがうかがえる。


Q. 業況判断に関する質問
 今回調査の業況判断は -1.00 との結果。2021年5月調査(-1.26)、8月調査(-1.20)、11月調査(-1.3)となかなか改善が見られない傾向にあったものが、一旦、デルタ株の感染者数が激減し第5波としては終息し、景気浮揚の兆しも見えたことが功を奏し、未だマイナスではあるものの、過去1年に限るともっともよい結果となった。一方でオミクロン株による感染者の激増で、1月9日から沖縄、山口、広島にまん延防止等重点措置が適用され、順次、全国34都道府県に適用されることなり、消費マインドは、ふたたび生活防衛意識の高まりから低調な推移をたどり、なかなか苦境から抜け出せないのが実情である。今回調査の判断では、前回はなかった「どちらともいえない」が27%あり、業況判断DIが若干改善することとなったが、下げ止まりの傾向はみられるものの、景気浮揚感なきインフレによる消費マインドの減退も予想され、判断に窮しているようにも見られ、依然として予断を許さない状況である。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 この間、個人消費を反映する全国百貨店売上の足元の推移をみると、10月以降は新規感染者数の減少とともに改善が見られ、年末年始が好調に推移したことから1月までは4ヶ月連続で前年対比ブラスであったが、1月中旬以降、まん延防止等重点措置が全国的に適用されることになり、2月で急激に落ち込むことになった。
 チェーンストア売上高は、イエナカ需要を反映して食料品を中心に前年対比では引き続き堅調な販売地合いを続けており、住居関連商品である日用雑貨品についても引き続き前年プラスのとなっている。家具、インテリア商品については改善の傾向はみられるが、引き続き前年対比プラスまでには至らないままとなっている。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
全国百貨店売上高合計 -1.6 4.2 -11.7 -4.3 2.9 8.1 8.8 15.6 -0.7
「その他家庭用品」分野 -6.3 -2.7 -20.7 -15.1 -3.1 6.7 0.9 4.0 -13.8
全国チェーンストア売上高合計 1.7 4.6 -0.1 3.2 3.7 2.8 1.7 4.0 6.1
「住関品 日用雑貨品」分野 18.4 7.3 -2.2 3.6 2.2 1.3 5.5 10.9 7.1
「住関品 家具インテリア」分野 -2.2 -11.5 -10.3 -8.4 -9.9 -5.5 -7.6 -0.1 -1.3

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 3か月先の業況に関する判断DIについては、-0.82と足許の判断( -1.0)に比べ引き続き高い水準にある。新型コロナ感染者数は高水準にあるものの、ピークアウトの兆しが見られ、重症化率の低さなどから緊急事態宣言までに至っていないこともあり、未だ7割以上の先が「悪い」「やや悪い」と判断する結果となっているものの、「悪い」が減り、「やや悪い」、「どちらともいえない」、にシフトしていることから、各社の期待感が見て取れる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 販売動向に関する状況をみると、全体の 82% の先が「やや悪い」、「悪い」と悪い方向に判断しており、前回の70%に比べ悪い方向にシフト。販売状況は依然、回復には程遠いという印象である。チェーンストア売上など一部では堅調な動きもみられるものの、百貨店売上で見られるように新型コロナの感染者数に左右される部分もあり、消費全体としてはまだまだ非常に厳しい水準にあると判断されている。
 デルタ株のまん延による、所謂「第5波」は9月中で終息を見ることとなり、以降、年末年始まで堅調な動きがみられたが、1月中旬以降、まん延防止等重点措置が全国的に広く適用。百貨店、大型小売店の営業時間の縮小、イベント等の制限、飲食店での酒類提供の制限などで、全国的にまたもや行動が抑制され、2月の百貨店売上をみても一気に消費マインドを冷やす結果となったが、2月中旬から感染者数のピークアウトの兆しもあり、今後、消費が上向くことを期待されるが、ガソリンをはじめ、食料や生活必需品の物価の上昇が、回復傾向にあった消費マインドをまたも冷やすことになりはしないか懸念されるところである。

 前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、すべて の先で「上昇した」としており、仕入価格は引き続き上昇している模様。原料綿花の価格が非常に高い水準で推移しているほか、為替相場も円安傾向にあり、輸入コストも高水準で、どの項目も短期での解消が難しいことから引き続き上昇傾向は変わらないものと思われる。
 また、販売価格の変化を問う質問においては、63% の先で「上昇した」と回答しているものの、すべての先で仕入価格が上昇しているにもかかわらず、依然その他が「変化なし」としており、全体的には、仕入価格は確実に上がっているものの、需要低迷、競争激化を背景に、価格転嫁がしにくい状況になっているものと思われる。

Q.在庫動向に関する質問
 今回2月調査では、在庫が「過剰」と判断する先は全体の63% と、前回11月調査( 60% )、と比べ微増。販売動向のネガティブな判断と同じ流れとなっており、悪循環の状態が続いている。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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