調査報告について / REPORT
2022 年8月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース
前回5月からの消費動向は、引き続き外出機会の増加や6月後半の記録的に早い梅雨明け等に伴い夏物商品が動くなど回復基調を維持している。7月後半からは新型コロナ感染急拡大や猛暑による外出自粛が影響するなど商況の変化もみられた。世界情勢の影響による価格高騰で食料品は苦戦が続いているが、住関品は行楽需要関連商品を中心に動きはよかった模様。インバウンドは政府による水際対策の段階的な緩和等もあり前年比大幅に増加しているものの、依然コロナ前からは程遠い状況にある。
アンケート対象のタオル流通会員企業の今回調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は足元 -0.92と前回調査よりも若干回復している。
また、三ヶ月先の「業況判断DI」は-0.67となり、過去1年ではもっともよい判断となった。
こうした環境の中、販売動向に関しては、58%の先が「やや悪い」「悪い」と回答する中、「どちらともいえない」が33%となるなど、前回調査から改善。足元の販売状況は「コロナ禍においては回復傾向にある」状態。
一方、仕入価格の上下を問う質問では、ほぼすべての先で前回に引き続き「上昇した」と回答しており、綿花価格の高騰、急激な円安、輸入コストの高止まりで、引き続き仕入コストが上昇しているものと思われ、先行きについても非常に懸念される状況となっている。
前月に比べて販売価格の上下を問う質問では、66% の先で「上昇した」と回答しており、引き続き価格転嫁の動きがみられるものの、残り34%が「変化なし」と回答しており、価格転嫁を急ぐも十分な転嫁が進んでいない側面もみられ、現在の状態が続くとさらに収益の悪化が懸念される。
この間、在庫水準の評価は58%が「過剰」と答えており、前回の54%と比べ若干悪化している。
Q. 業況判断に関する質問
今回調査の業況判断は -0.92 との結果。2019年11月調査(-0.85)以来となる-1以下となった。コロナ感染者数は高水準で推移しているものの、概ね行動制限がない状態となり、インバウンドをのぞけば、ようやく改善の兆しが見て取れる。一方で資源、原材料の高騰、円安、ウクライナ情勢などで、エネルギーや食料品、生活必需品が値上げを余儀なくされており、生活防衛意識の高まりが懸念され、今後の消費マインドの動向が注視される。今回調査の判断では、前回から「どちらともいえない」が18%から33%に、「悪い」36%から25%になり、改善の傾向はみられるが、「良い」「やや良い」の判断は0%が続いており、引き続き非常に厳しい状態である。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。
この間、個人消費を反映する全国百貨店売上の足元の推移をみると、外出機会の増加に伴う消費マインドの回復が引き続き見られ、世界情勢の影響による入荷減や価格高騰、イエナカニーズの減少で食料品は苦戦しているが、和洋菓子は手土産、帰省需要で好調だった模様。
チェーンストア売上高は、生活者の行動範囲が広がったことから内食化需要が減少し、食料品の動きが鈍かったこともあり6月はマイナスとなったが、反面、行楽需要関連商品などの動きがよかったこともあり、7月は全体前年比プラスに戻す結果となったことに加え、家具、インテリア分野がプラスに転じた。
▼全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移
|
前年同期比伸び率%、店舗数調整後 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
全国百貨店売上高合計 |
8.1 |
8.8 |
15.6 |
-0.7 |
4.6 |
19.0 |
57.8 |
11.7 |
9.6 |
「その他家庭用品」分野 |
6.7 |
0.9 |
4.0 |
-13.8 |
-4.6 |
4.2 |
43.5 |
3.9 |
-3.7 |
全国チェーンストア売上高合計 |
2.8 |
1.7 |
4.0 |
6.1 |
1.9 |
2.1 |
0.9 |
-0.1 |
1.8 |
「住関品 日用雑貨品」分野 |
1.3 |
5.5 |
10.9 |
7.1 |
15.6 |
14.8 |
15.8 |
8.9 |
10.9 |
家具インテリア」分野 |
-5.5 |
-7.5 |
-0.1 |
-1.3 |
-2.0 |
0.1 |
-3.0 |
-4.3 |
2.5 |
(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による
3か月先の業況に関する判断DIについては、-0.67と足許の判断( -0.92)からは改善の動きになり、前回に比べ「どちらともいえない」の回答が増え、改善を見込む判断となった。新型コロナ感染者数は高水準であるものの、ほぼ行動制限がない状態となっており、景気回復を期待する内容となった。
Q.販売、仕入動向に関する質問
販売動向に関する状況をみると、「どちらともいえない」が増え、「やや悪い」、「悪い」が、前回の 82%から58%に改善し、販売状況の悪化は底を打ちつつあるように見える。実際、百貨店、チェーンストア売上でタオルの属するカテゴリーでは好調な動きもみられ、依然厳しいながらもコロナ前の水準が徐々に視野に入ってきているようにも見える。
前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、前回に引き続き、ほぼすべて の先で「上昇した」としており、仕入価格は引き続き上昇している模様。綿花の国際価格は大幅に下落し、一旦調整された感はあるが、実際の綿糸価格に反映するのはかなり先になる上、引き続き円安、輸入コストも高止まりしており、依然どの項目も短期での解消が難しいことから、いまのところ上昇傾向は変わらないものと思われる。
また、販売価格の変化を問う質問においては、67% の先で「上昇した」と回答している一方で「変化なし」の回答も少なからずあり、価格転嫁を急ぐものの、今後の景気動向も不透明な中、慎重な姿勢もうかがえる。
前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、すべて の先で「上昇した」としており、仕入価格は引き続き上昇している模様。綿花の価格が非常に高い水準で推移しているほか、急激な円安、輸入コストも高止まりしており、どの項目も短期での解消が難しいことから、引き続き上昇傾向は変わらないものと思われる。
また、販売価格の変化を問う質問においては、55% の先で「上昇した」と回答しているものの、すべての先で仕入価格が上昇しているにもかかわらず、その他ほとんどが「変化なし」としており、全体的には、仕入価格は確実に上がっているものの、需要低迷、競争激化の懸念から、価格転嫁がしにくい状況が続いているものと思われる。
Q.在庫動向に関する質問
今回8月調査では、在庫が「過剰」と判断する先は全体の58% と、前回5月調査 54%、と比べ若干増加しているものの、前月に続き、在庫は多いながらもある程度コントロールされていると思われる。
以上
なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp