調査報告について / REPORT

2023年5月実施「タオル流通動向調査」の結果に関するリリース

 前回2月からの消費動向は、マスクの着用ルール緩和、新型コロナ5類移行による外出機運の高まりで人流が増加し、回復は一段と進んでいる一方で、物価高による節約志向の高まりから買い控え傾向が強くなっている。
 インバウンドは円安と入国制限の終了などを背景に好調に推移、着実に回復している。
 アンケート対象のタオル流通会員企業の今回調査での景気動向への見方を示す「業況判断DI」は足元 -0.5と若干悪化。
 また、三ヶ月先の「業況判断DI」は-0.25となり、こちらは若干改善する結果となった。
 こうした環境の中、販売動向に関しては、「やや悪い」「悪い」が42%、「どちらともいえない」が25%「やや良い」が33%、(良いは0%)となっており、判断が割れている。販売先や現環境における各企業の事情が影響しているものと推察される。
 一方、仕入価格の上下を問う質問では、前回同様33%の先で「上昇した」と回答しており、一本調子の上昇からは落ち着きがみられるが、引き続き円安、調達、製造コストの高止まりで、総じて仕入コストが上昇しているものと思われる。
前月に比べて販売価格の上下を問う質問では、92%が「変化なし」と回答しており、前回に比べ一定の値上げが浸透しつつあることが伺える。また、在庫水準の評価は67%が「過剰」と答えており、前回に比べ過剰感が増している。


Q. 業況判断に関する質問
 今回調査の業況判断は -0.5 との結果。前回11月調査(-0.42)から若干の悪化となった。新型コロナ5類移行により制限がない状態となり、外出機会の増加やオケージョン需要、催事、イベントの復活など、コロナ禍で大きく減少していたものが目に見えて増加、インバウンドも入国制限の撤廃と円安で急伸しており、改善の兆しが顕著。一方で物価高による節約志向の高まりから買い控え傾向が強くなっており、今後の動向が懸念される。
*業況判断DIは、「良い」2、「やや良い」1、「どちともいえない」0、「やや悪い」-1、「悪い」-2を付与して、総合計をアンケート参加者数で除して、一会員の平均を算出したもの。

 この間、個人消費を反映する全国百貨店売上の足元の推移をみると、外出機会の増加やオケージョン需要から好調に推移、急伸するインバウンドも好調を牽引しているものの、全体の上昇率は低下、その他家庭用品分野では微減となっている。  チェーンストア売上高は、節約志向の高まりから買い控え傾向が強くなり、食料品が苦戦、全体を押し下げている状況。一方で衣料品や旅行需要関連商品などの動きは引き続きよかったものの、日用雑貨品上昇率は低下、家具インテリアはマイナスとなっており、消費がコロナ禍の家ナカ需要から外出需要へとシフトしているものと思われる。

全国百貨店、チェーンストアにおけるタオル分野の売上高伸び率推移

前年同期比伸び率%、店舗数調整後 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月
全国百貨店売上高合計 20.2 11.4 4.5 4.0 15.1 20.4 9.8 8.6 6.3
「その他家庭用品」分野 7.8 -4.1 -7.4 -5.1 3.7 12.3 -0.6 -0.8 -2.4
全国チェーンストア売上高合計 1.1 1.6 0.8 2.7 1.3 -2.0 1.5 3.4 1.3
「住関品 日用雑貨品」分野 16.5 16.7 12.8 12.9 8.5 11.8 -0.1 4.9 3.1
家具インテリア」分野 -1.8 10.3 2.1 2.9 5.9 -0.2 -0.9 -5.4 -5.2

(注)百貨店売上高は日本百貨店協会発表、チェーンストア売上高は日本チェーンストア協会発表資料による

 3か月先の業況に関する判断DIについては、-0.25と足許の判断( -0.5)から改善。前回が-0.33であったことを考えると今後の改善期待値がさらに上がっている回答となった。「やや良い」「どちらともいえない」、「やや悪い」、「悪い」の回答が拮抗し、当月の販売動向同様に各社の事情でまだら模様となっているものと思われる。コメントからも節約志向の高まりから、買い控え傾向が強くなっている一方で、各種イベントの増加などによる新規受注案件の増加が期待されており、業態間での温度差が見て取れる。

業況判断DI


Q.販売、仕入動向に関する質問
 販売動向に関する状況をみると、「やや良い」が33%「どちらともいえない」が25%、「やや悪い」、「悪い」が42%であった。「やや悪い」、「悪い」は前回と同じ割合ながらも「やや悪い」から「悪い」にシフト、一方で「どちらともいえない」から「やや良い」にシフトしている印象。行動制限がなくなり、イベントなどが開催されるようになり、別注関連は安定的に受注できており、新規受注案件も増加している模様。
 前月との比較で仕入価格の変化を問う質問では、前回とほぼ同じ内容で、33%が「上昇した」と回答。仕入価格の上昇は落ち着きを見せているものの、円安傾向が続く中、エネルギーコストの増大も続いており、今後さらに仕入価格を引き上げるのでは、との懸念の声も聞こえる。
 また、販売価格の変化を問う質問においては92%が「変化なし」と回答しており、値上げが一段落しているように見て取れるが、一方で、コメントでは価格転嫁が十分にできていないとする声も複数あり、値上げ交渉は一巡したものの、業態によっては急激なコストアップに対しての価格転嫁が途上であることも考えられることから、業況判断が前回より悪化している一因かもしれない。

Q.在庫動向に関する質問
 今回5月調査では、在庫が「過剰」と判断する先は全体の67% と、前回2月調査 42%に比べ上昇。前々回、前回調査と続けて過剰感が減少し調整が進んでいたように思えたが、ここにきて悪化しており今後の販売動向と合わせ注視する必要がある。
以上

なお、本調査に関するご質問等がありましたら、お気軽に以下にご連絡ください。
info@osakatowel.jp

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